心の奥にぽっかりと空いた穴。
 その穴を冷たい風がすーっと通っていく。


 上を見上げると真っ青な空。
 越えられなかった高い壁。




 ああ、これで夏が終わりなんだ。そう思ったのは数ヶ月前のことだったか。



 うだるような暑さは涼しい風に変わり、白球の高い音はシャーペンの硬い音に変わった。


 いつもと変わらない授業にあくびをし、窓を見る。
 ゆらゆら揺れるカーテン。
 お経のような授業。
 ゆっくり歩く時間。


 数ヶ月前の自分にはこんな光景思いもつかなかったんだろうな。そう自嘲気味に笑い、カーテンの外に目を向けた。





 キラキラ光った僕らの夏はモノクロの記憶に変わってく。









(090524)
何かの続編だったりしたりしなかったり。


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