暗闇に響くサイレンの音。
 赤、黄、青様々な光。


 チッと舌打ちをし、岸野は立った。その反動で、倉田の胸に刺さっていたナイフがぐちゃりと音をたてて抜ける。

 岸野の黒い服に、どす黒い赤の染みが着く。


 「あーあ、きたねー」ナイフに付いた血液を拭いながら言う。「今日おろしたばかりの服だってのに」




 まったく、今日はついてない。何時もどおりの仕事だと思ってやってたら、誰が呼んだのか警察が来るし、かえり血が着かないように慎重にやっているはずなのに服に血が着く。

 星座占いは上位だったはずなのに。



 ハァとため息をつき、歩きだす。人気の少ない裏路地だからといって警察に見つかる可能性がない訳ではない。早く逃げなければ見つかるだろう。だからといって、易々と捕まるなんてことはないのだが。

 倉田の死体はここに捨てておけば良いだろう。何時もなら業者を呼んで処分してしまうのだが、あいにく今日は近くに警察がいる。警察に発見してもらった方がリスクは低い。明日には、評論家の倉田壮一が亡くなったというニュースが飛び交うだろうが。
 それで、仕事に支障が出るわけでもないしな。そう思いながら、よっと塀に足を掛け登る。ビルの非常階段を登り、中に入る。そのまま上に進む。あっという間に屋上だ。


 長く息を吐き、吸い込む。

 下を見ると、さっきの裏路地にちょうど警察が入って行く所だった。悲鳴に近い声が上がる。間一髪。ぎりぎりだ。









(090321)
練習で書いたもの。


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