助けに来た伊作
の段

*これまでのお話*
穴に落ちてしまった乱太郎。救助に向かったのは…?




不運委員長に穴。
思った通り、当然の結果が待っていた。

伊作先輩は、私の予想以上の速さで穴に落ちてしまった。
まるで狙い済ましたかの様に、勢い良く突っ込んできたのだ。

ズドン!

地面に刺さった先輩に、私は死を意識した…



「っぷは〜〜」
「!?」

だがどうであろう。
先輩の体がむっくりと起き上がりはじめたではないか!
やがて血まみれになりながら、笑顔すら浮かべる始末。
私は半歩下がらずにはいられなかった。

「やあ乱太郎君!」
「ヒイッ」
「可哀想に、怯えてるのかい?無理もないか、こんな所で何日も…でも!もう大丈夫さ!」
「ヒイッ」

お、落ち着かなきゃ。先輩を応急処置できるのは私しかいないんだから。脳がヤられてないと良いけど…

「さあ!トイペを登って脱出しよう!」

ああああダメだぁ。

「こんな事もあろうかと、命綱を着けてたんだよ。見てごらん」

自分の腹の辺りをまさぐる先輩。
何?内臓?


予想に反して、それは白い綱の様な物だった。
そしてそれは、穴の外へと切れずに伸びているではないか!

「トイペを編んで作ったんだ。大丈夫、僕らを助ける強度はあるよ」
「うわぁ」
「3日間、ぶっ通しで編んだんだ」
「すごい…」
「12ロール、全部使ったよ」
「先輩…素敵!」

さすが委員長。保健品の用途を知り尽くしている。
私はさっきまでの疑いを恥じつつ、先輩と共に輝く綱に手をかけた。



続き

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