直井に身体を被せると両腕が伸びて来て、それだけでは足りないと言わんばかりに抱きしめられる。 手加減無しに力を入れているのか少し苦しいくらいだ。 目の前にある肩に舌を這わす。 汗をかいているからか少し塩気を感じた。 確かに暑いな……。 そういえば冷房をつけていなかった。 リモコンは何処だったか。 確か机の上に置いていたはずだが今更つけに直井から離れるのもはばかられるけれど、流石にこれじゃあ……。 「直井、こんなにくっついてたら動けないだろ?」 「あ……」 直井が慌てて両腕を解く。 俺は次に直井の口から出てくる言葉をなんとなく予想して、それを耳に入れる前に口を塞いだ。 「んっ……」 今度は引き離そうとする動きも無く、応えてくれた。 直井のキスは俺の真似事のような物だけれど、それでも一生懸命な気持ちが伝わってくる。 一度離れていった手が背中にゆっくりと回される。 直井の右脚を開かせるように腕を入れて、膝裏を俺の肘の内側で抑えつける。 舌の動きが止まったので、唇を離して表情を伺う。 「……おとなしさん」 「…………」 「…………」 コクンと直井の喉が鳴る。 ああ、やばい可愛い。 「直井、いいよな……?」 「え……?えっ!?」 自分の尻尾に犯されている直井のそこに、いきり立つペニスを充てがう。 背中に回されていた手が戸惑いがちに胸に当てられるが、構わず突き入れた。 「んあぁああっ!!」 「ぐっ……」 充分に濡らしていたとは言うものの、やはり痛みを伴なうのだろう。 直井が首を仰け反らして悲鳴を上げる。 「ぅうっ、はっ、うっ、あっ」 直井の背に手を回しきつく抱きしめれば、押し退けようとする手も互いの身体に挟まれて動かす事は出来なくなった。 それでも動く頭をイヤイヤをするように振りながらか細い声で泣き続けた。 「ひんっ、いっ、あ、むり……もうむりぃっ……!」 「……直井っ」 「うっ、おとなしさぁん……」 切なそうに俺を呼ぶ声も、苦しそうな吐息も、今の俺には興奮剤にしかならない。 中途半端に入った性器もきちきちに締め付けられて痛い程だ。 けれど直井の方が痛いだろう。 入り口に指を這わすとシワが無くなっているんじゃないかというくらい広がっている。 一周させてみるが傷にはなっていないようだ。 熱に浮かされた頭でなんとかそれだけ確かめると、残りを全て埋めるように腰を押し付けた。 「やぁああっ!!あっ、やらぁ……」 「っ……うっ……」 痛みから逃れようと腕を突っ張ったり身を捩ったりするが、抱きしめてさせない。 「ヒックっ、うっく、あうぅ……」 逃げきれないと分かったのだろう。 さっきまで俺を引き離そうとしていた手の力が抜けて、今度は縋りつくように俺の胸を滑る。 涙をボロボロと零して唇を震わせている直井を見ると、可哀想にも思うのだけれどやはり可愛く思う気持ちの方が大きくて、どうしても止める事が出来なかった。 無理だ、嫌だと言っているのに俺は最低だな。 「直井ごめん……止められんねぇよっ……」 「んっ、ぁああっ!?」 言うだけ言って、腰を打ち付けると直井は首を仰け反らせて声を上げた。 さっき俺が鎖骨に付けた痕はもう消えてしまっている。 「あっ、ひんっ、おとなっ、しさっ、ぁあんっ!」 「うっ、……んっ」 強い締め付けはやはり痛いし滑らかに動けないけれど、それを超える快感がある。 ぎゅうぎゅう絞め付けてくる入り口だとか、包み込んでくる内壁だとか、尻尾の被毛が擦れる少しだけチクチクとする感触と暑さが相まって、汗がぶわりと出てくる。 直井が大きな声を上げながら俺に縋りつく。 大声を出した方が痛みは紛れる物だし、俺自身もそれに煽られているから止める気はないけれど、胸には取っ掛かりが無いからその手はどうかと思う。 直井の手を取って、両方とも背中に回させる。 涙腺壊れたのか。と聞きたくなるくらいに涙を流している瞳と目が合う。 それから直井がゆっくりと柔らかく笑って見せる。 力強くはないけれど、夢現の中の淡い可愛らしい笑みに湧き上がるような愛しさを感じた。 「直井っ……」 「ふああっ、ああッ……はあっ、あっ、あっ!」 「お前っ、あんま、煽るなっ……」 「ふあっ、そんなっ、ぼくぅっ、はあっふあっ、ああっんぁああっ」 それで喋ってるのか。 「あっ、んあっ、しんりゃ……もう死んひゃうっ!」 「ははっ……こんなんで……死なねーよ。死んでもいいけどなっ……」 「ふあっ、はううっ、んああっ、ああっ、ああッ」 万が一死んだら起きるまで抱いて待ってるから。 二度目だから結構持つかと思ったらそうでもなさそうで。 動きを変えれば今にもイけそうだがもう少しこのまま楽しみたい気持ちもある。 溢れた汗がぼたぼたと髪から、顎から滴って直井に落ちる。 開きっぱなしの口の中にも俺の汗が垂れていった。 「ひんっ、ふああぁ、ぁああっ、んあっ」 淫蕩に溶けた表情に、口の端から溢れる唾液。 なんだよ、俺の汗なんか飲めないってか? そんな事考えてない事は分かっているが何故か惜しく思えてしまう。 「イきたっ、いっちゃっ、はううっ」 もう少し味わっていたかったけどこれ以上は直井がこらえられそうにないな。 それもそうだろう。 感じる場所に感じる物を突っ込まれているんだから。 結合部を見ると、尻尾を抜きたいのかアナルからクイクイと時折弱々しく引っ張られている。 腰を引く時にずるると少しだけ抜けるが打ち付ける時にそれはぐちゅりといういやらしい音と共に中に勢い良く戻って行くから、快感から少しでも逃れようとする努力は無駄な物だった。 「んあっ、おとなひさっん、ふああっ、ああん」 「直井……」 快感に酔うというよりも、過ぎたそれに犯されて訳が分からないといった風に、泣きながら俺の背に爪を立てて引っ掻く。 正気の時には絶対しない事だろう。 それ程感じてくれていると思っていいんだろうか。 「おねがっ、おねがいしまふっ、はぁあっ、あっもうっ」 「分かってるよ……一緒にな……?」 「ふうっ、くうんっ」 それ返事か? グイグイと腰を振ると、直井の頭がコツンとベットヘッドに当たってしまったので、身体をずらして直井の腰を片手で掴んで肩を抱いている手も使って引き寄せた。 「ひぃいんっ……あぅうっ」 「っ……」 直井の脚が突っ張って、背中に回されていた手に力が込められる。 それでも目を固く瞑り我慢しようとしているのか、直井のペニスから少し濁りを帯びた液がとろりと溢れた。 最後の追い込みで動きを早くして激しく穿つ。 肌のぶつかる音と擦れる際の粘着質な水音、滅茶苦茶に動かしているから中に入れた尻尾の毛並みもバラバラになって刺激してくる。 「おとなしさぁんっ」 「くぅううっ……直井っ……!!」 「ひぁああああっ、ぁぁあ……ぁああああああッ……!!」 ぴゅっぴゅっと細い糸状に飛んだ直井の精液が互いの胸や腹を汚す。 俺は中に全てを出しきるまで、関節の軋む音が聞こえてきそうな力で直井を抱きしめていた。 「んっ……はぁっ……あぁ……」 「ふっ、んぅうっ……」 中に精液を出している間も直井は身体を震わせながら、俺の背にいっそう爪を食い込ませながらその感覚に耐えてくれている。 中の奥で折り曲がって入っている尻尾が邪魔して精液が奥まで行ききらないのか、ペニスと尻尾の隙間からぷちゅっ、ぶちゅっと音を立てて溢れ出す。 「んっ……うあっ……」 ぴくっと身体を戦慄かせ、直井が顔を俺に擦りつけて伏せる。 猫耳が頬に擦り付けられた。 「直井……」 「う……」 直井の手から力が抜ける。 身体をゆっくりと離すと、首が弧を描いて後ろに倒れそうに揺れたので慌てて手を項に回して支えた。 そのままそっとベットに頭を付けて寝かせる。 「おい、なお……」 「あんっ……」 「…………」 頬に触れよう動いたら直井が喘いだ。 「も……動かないで……ください……」 「え、あ、ああ……」 かと言ってこのままじゃあ……。 「直井、抜くぞ……?」 「…………はい」 受け答えは普通に出来ているから大丈夫だと思うが、かなり体力を消耗したのだろう。 反応は遅いし、目もまだ虚ろだ。 「ひあっ……」 腰を引いてペニスを抜くとずちゅっと音が立ち糸を引いている。 こんな些細な快感も汲みとってしまうのか、切なそうに眉を寄せて緩慢な動作で横を向いて手で自分の目元を隠した。 次に尻尾に手をかける。 ここも性感帯らしいので、なるべく刺激しないように掴む。 それでも小さな吐息が聞こえる。 一気に抜いた方がいいのか?それともそっとやった方がいいのだろうか。 悩み所だが、だらだらと焦らされる方が辛い気がする。 ここは一気に……。 「ふぁああんっ!」 「っ……」 そっと抜いた方が良かったかもしれない。 |