| 「…………」 「…………」 本当はこちらからお願いしたいくらいなのだが、直井に言わせたかった。 ちらりと様子を見るように視線を向けられたから、にっこりと笑顔を返す。 「…………」 「え？何？」 直井の口が動き何かを言っているようだが全く聞こえない。 聞き返せば頬を赤くさせながら意を決したように直井が息を吸う。 そんなに大仰な事か？ 「したいですっ」 「…………」 ああ、やっぱり可愛いなぁ。 「して下さいっ……」 「お前……可愛いな」 直井の言葉を胸で噛みしめていたらさらに追い打ちをかけられ、つい心の声が漏れてしまった。まぁいいか。 「えっ、あ、ん……」 「お前がきっちり満足するまでしてやるよ」 「なっ、僕はそのっ！」 「俺もしたいよ、させて」 「うっ…………」 ぷしゅうと音が出るんじゃないかと思うくらい真っ赤になってしまった直井の手を取って手のひらにキスをする。 「……呆れてませんか？」 「ははっ、そんな事ねーよ」 「そうですか……良かったです……」 直井が心底ほっとしたような表情で笑う。 手のひらから腕へと唇を這わすと、ふふっとくすぐったがるような声が聞こえてきた。 「音無さん……」 「ん？」 「いえ……なんでもないです……」 本当だろうか？ 視線だけ上げ目を合わせて真意を探るが、本当に他意はないように思える。 別に騙されるとは思っていないが、時々暴走してしまう時もあるけれど大概は俺に対してどこか遠慮しているというか自分を隠してしまう所があるからな。 「…………？」 俺がじぃっと見たまま動かないからか、直井が首をかしげる。 だからそういう可愛い仕草を止めろと……まぁ今は二人きりだからいいけれど。 「なら良かった」 二の腕の近くで喋ると息がかかってくすぐったいのか、腕に力が入る。 気にせずに肩、胸に下ろしてから鎖骨を唇で撫でる。 鎖骨の上の薄い肌を吸って首筋にやると、直井が首を反らして俺のやりやすいようにしてくれた。 「んっ、んっ……」 同時に胴に巻きついている尻尾を取って弄れば、声と共に喉が震えるのを唇で感じる事ができる。 口を大きく開けて、喉笛をはさむようにして歯を立てる。 はあっと直井が息を吸い緊張でもしているのかその胸が動かなくて、尻尾をぎゅっと握ると驚いたような喘ぎと共に止まっていた息が吐かれる。 「んっ、くぅんっ」 直井の指が俺の背を滑って、項に届く。 出ているのかどうか疑わしい喉仏を舌で押して確かめ、立てていた歯にほんの少しだけ力を込める。 赤くなったり痛みを感じたりしないくらいの強さで噛むと、少しだけ後頭部の髪を巻き込んだ拳が項の上できゅっと握られた。 顔を上げると、歯形が残っているのが見えて加減を間違えたか？痛かっただろうかと思い歯形の付いた皮膚を撫でているとそのうちに消えていった。 その下に目をやるときつく吸ったつもりはないのに鎖骨の辺りにうっすらと赤い痕がついている。 肌が弱いんだろうか？ 気をつけなければいけないな。とも思ったが死んでも数十分で生き返る世界だ。 少し待てば消えるだろう。気にすることでもない。 「あっ、んぅっ……」 それにしてもこの感度はすごいな。 尻尾をちょっと弄っているだけなのだが、直井は絶えず声を洩らしている。 そんな悩ましい音に鼓膜を震わされれば、ついさっき終えたばかりだというのに俺はもうすぐにでも出来る状態になってしまっている。 ヤったばかりだから今すぐ入れたっていいだろうが……。 ああ、いい事を思いついた。 身体をずらそうとして、少しだけ下げたスラックスが邪魔になる。 尻尾を離して下着とまとめて脱ぎ捨てれば、挿入を予期したのか直井が息を飲む。 俺はこの通り裸だが、直井は靴下だけは脱いでいない。 散々動いたため少しずれてはいるけれども白い靴下と猫耳猫尻尾を身につけているいうなんともまぁインパクトのある格好だ。 身につけているというのは靴下以外間違えか。 生えているんだからな。 少し手を離していただけなのに、いつの間にか足の間を通って身体を隠そうとしている。 本物の猫のそれをよりかは太いかなというくらいなので、大した役割は果たしていたないけれど、邪魔な事には変りない。 「ぅおっ、音無さんっ！？」 さっき直井のペニスと一緒に触っていた為先走りの液やらで濡れている尻尾を口に含めば、直井が驚いたようで裏返った声を上げた。 「ひゃっ、あうっ、だめ……」 口の中で尻尾を曲げて出来るだけ長く咥えると、口内を尻尾があっちこっちに動き回って落ち着かない。 そんな事には負けないで、唾液を被毛の一本一本を湿らせるように全体を舐めてやる。 すると汗とは違った味や匂いがして俺のとも擦り合わせたから直井のだけじゃなく自分のがまん汁を舐めているのでは、とよぎるが気持ち悪くなりそうなので深く考えない事にした。 「ひぃんっ、ひうっ、くあっ」 尻尾が俺の口から出ていこうという動きを見せるが、歯を立ててそれを阻止する。 大人しく俺に身を任せていればいいんだよ。 尻尾だから毛がもやもやして舌触りが良くないが、それにしてもフェラでもしているような気分だ。 「ふああっ、あ、んっくぅっ」 頬を締めるようにしてほんの少しだけ歯を立てながらじゅるるるっと音を立てて吸いあげる。 先端まで引き抜いてちゅぽんと口を離した。 「直井、ちゃんと見てろよ」 見れば片腕で自分の目元を隠してしまっている。 その腕が横にずらされ、琥珀色の濡れた瞳と目が合う。 俺の首の後ろで握られていた拳をゆるくさせ、忙しなく薄い胸が上下に動く乱れた呼吸の中で途切れ途切れに言葉を放つ。 「そんな……はっ、恥ずかしい、です……」 「チンコじゃねーのに？」 「うっ、いっ、言わないで下さいよっ！」 憤死しそうな勢いで否定されてしまった。 これからフェラの方がマシだと思うかもしれない事をするけどな。 直井の右肢の膝裏を押して持ち上げる。 少しだけ尻が浮いて、さらに身体を下げてみれば尻尾の付け根が奥に見えた。 口に含めなかった部分にも唾液を馴染ませるように全体を丁寧に舐めていく。 その度に尻尾はピクピクと動いていて、まるで別の生き物のようにも見えた。 「音無さん……」 俺が移動した事によって外れた手が、所在なさげに仕方なくシーツを掴む。 「んっ……」 濡れたアナルに指を這わす。 くちゅんとまるで迎え入れているかのように入っていった。 これなら大丈夫だろう。 一度引き抜き尻尾の先端を中指の頭にくっつけてその指に沿わせ、一緒に直井の中に突っ込んだ。 「くぁあああっ」 突っ込んだ指で尻尾を壁に擦りつけるようにして動かす。 「お前の尻尾が入ってんぞ」 「うそ……あっ、はっ、おとなしっさぁん」 入っている場所までは自分の身体で隠れて見えないだろうが、尻尾の見えなくなっている先がどうなっているかくらい想像出来るだろうし、感覚でも分かるはずだ。 指だけ出して尻尾と一緒にまた入れる。 その度に直井が喘ぎ震える中で、俺を呼びながら手を伸ばしてきた。 指を交差させるようにその手を握ってやれば、寄せていた眉間のシワが浅いものへと変わる。 「おい、抜くなよ」 せっかく入れたのに、ずるずると尻尾が出て行ってしまう。 そんな刺激にも感じてしまうのか握っている手がきゅっきゅっと時折握られる。 「んっ、そんな……はっ、ん」 繋いでいた手を引いて、自分の尻尾が入っているそこに触れさせる。 「な？わかる？」 「えっ……はい……」 直井の指と尻尾を一緒に中に入れようとしたけれど、直井がひきつれた声を上げ、手を引いてしまった。 無理にやらせると引っ掻いて中を傷つけてしまうかもしれないので、気にせず自分の指で抜き出てしまった尻尾を中に押し戻す。 「んあっ、はうっ」 それを繰り返し行っているとついに直井が音を上げる。 「ひっ、やぁっ、もうおなかっ、むりですぅっ……！」 「…………」 「お、おとなしさぁんっ……」 「わかったよ」 まだ半分くらいしか入っていないのは残念だがもういいか。 すがるような可愛い声を出されたら言うことを聞いてやるに他ならないだろう。 |