彼の上半身があらわになる。 僕の貧相な身体と違って適度に筋肉のついて健康的な色をしていて、とても魅力的だと思う。 「あっ、んあっ。」 彼の身体に見惚れていたら、不意に下半身を触られた。 「もう勃ってんじゃん」 「んっ、ぁっ」 傍観者といった感じでニヤリと彼が笑う。 「おとな、しさんっ、あっ、やぁっ」 僕だけ昂ぶらせておいて笑みを浮かべている彼。 僕の事好きなんですよね? いたたまれなくなって腕で顔を隠した。 「隠すなよ、見せろ」 けれどすぐに手首を掴まれ、ベットに縫い止められる。 閉じていた足に膝が差し込まれ彼が僕に覆いかぶさる。 「好きだ、だから見たいんだよ。わかるだろ?」 耳元で彼が嘘をつく。 今僕を動けなくしているのは彼の手じゃない。 言葉だ。 甘い甘い嘘は僕の心に染み込んで拡散する。 「うっ、ぁっ、はっ、あっ」 人の優しさになれてない僕は、それだけで胸を熱くさせ涙を零してしまう。 「音無さんっ、はぁっ、あっ」 彼が膝で僕の性器を押してくる。 グイグイと睾丸ごと持ち上げられるようにされ、ビクンと身体が跳ねた。 先走りの液が彼の制服を汚してしまっている。 「いっ、あっ」 「何だ?痛いか?」 痛くはないけれど、それを伝えられない。 口から出るのは荒い息と喘ぎ声。 彼は聞きながらも答えがなくともいいようで、膝の動きを止めたりはしなかった。 「んっ、あっ、もうっ」 加虐趣味でもあるのだろうか? 僕を好きだと言いながらも意地悪な事をされている気がする。 今だって頭(かぶり)を振って泣いている僕を、潤んだ目で見つめている。 手を動かせない僕は、彼を引き剥がす事も抱きつく事もできない。 ただ彼の目の前に晒される。 「やっ、ダメっです。ふあっ」 「我慢すんなよ、ほら」 「ひっ、あっ、ぁぁあっ!」 膝頭を上下に動かされて、堪えられずに吐精してしまう。 ぴゅるぴゅると飛んだそれは、彼の膝や僕の腹を汚してしまった。 すごく満足そうな表情をしている彼が、掴んでいた手を離して僕の頬に触れる。 優しく撫でてくるそれが気持ちよくて、頬を擦りつけるようにした。 僕の脚の間に身体を入れられると自然と開脚させられる。 僕の身体に飛び散った精液を指に絡めながら性器に触られる。 「んっ」 緩く撫でられて、再び反応をしはじめる。 先端に丸く浮かんだ透明な液と精液を混ぜるように擦られ腰が揺れる。 ぬちぬちと音が出ていて、大分濡らしてしまった事を知らされた。 「はぁ、んっ、ひっ」 膝の裏側を持たれて、片足を上げられる。 普段晒される事のない奥まで見られてしまう姿勢に、頬が熱くなるのを感じた。 「力抜け。」 薄い肉を割って、彼の指が窄まりを捉えた。 くるくると僕が出した粘液を擦りつけられて身体が強張る。 硬い爪に入り口を突っつかれると、どうしても恐怖が拭えない。 「平気ですから……」 いつまでたっても怖くなくなる事なんてないだろう。 それなら多少強引にでも進めて欲しい。 「無理そうだったら言えよ」 「はい……んっ」 つぷりと指が一本埋め込まれる。 そんなに深くまでは来ていない。 思ったほど痛みはなかった。 キツイ入り口を解き解すように中に入った指がゆるゆると動かされる。 「んっ、ふっぅ」 粘ついた液を中に入れるかのように、一度抜いてはもう一度浅く入れるを繰り返される。 その指が徐々に奥へと入ってくる。 できるだけ長い呼吸をしようと努める。 「指、全部入ったぞ。」 「……はい」 「痛みは?」 「ん、ない、です。ふぁあっ」 いきなり中を広げるようにぐるりと指が動かされた。 「これは?」 「んっ、痛く、ないですけどっ、あっ」 ずるりと指が引き抜かれて今度は二本、指が入れられるて思わず息を飲む。 「キツイな……」 今度は皮膚が突っ張られて鈍い痛みがあった。 中に押し込まれると苦しい。 抜き差しをされたと思ったら、中で二本の指がバラバラに動かされる。 抜かれる時に曲がった指に腸壁を撫でられて、思わず短い悲鳴のような声を上げてしまった。 「ひんっ、あっ、ぁあっ、やっ、待って、音無さんっ」 未知の感覚に困惑している僕に構わず、彼はそこばかり触ってくる。 彼にしがみつこうと手を伸ばすが、叶わない。 腕に触れるが、とっかかりがないので汗で滑ってしまう。 「やですっ、待って、待って下さい」 彼に触って貰えるのはすごく嬉しい事なのに、怖かった。 初めて知るその感覚に神経がぶわっとなってしまうようで、何も考えられない。 「音無さんっ、おとなっしさんっ!」 踵でシーツを蹴って身体を持ち上げようとするが、彼の脇に挟まれてしまう。 性器の先端から透明の液が滴って彼の指に伝う。 くちゅくちゅと音が鳴っているのが自分の身体とは思えなかった。 またイってしまう。 そう思った時にやっと指が抜かれた。 「そんなに呼ぶなって……我慢出来なくなるだろ」 彼がゴクリと唾を飲んだ音が聞こえた。 「我慢なんかっ、しないで下さいよ」 乱れた息をしながらなんとか告げる。 彼が目を細めて僕を見た。 なんだか怒ったような表情をしているけれど、そうじゃないとわかる。 カチャカチャとバックルの鳴る音がして、素早く前をくつろげる。 膝裏を持たれて、胸に太腿が着くんじゃないかと思うぐらい曲げさせられる。 それを左右いっぱいに広げられて、何もかも見られているという事を実感する。 彼に熱っぽい視線を感じて、少しだけ脚を閉じるとさっき以上に開かれた。 すん、と鼻をすすると、大丈夫か?と問われる。 口と鼻は息をするので忙しいので、僕は長めの瞬きでそれに答える。 彼が位置を調節して入り口にぴとりと充てがわれる。 彼が腰を進め、中に侵入して来た。 「うっ、く、ぅぁああっ!」 「んぅ……」 慣らされたとはいえ、本来そこは物を受け入れる器官ではない。 そこを無理やり広げられて痛くないはずがなかった。 手加減なしに締め付けられて彼だって痛いはずだけど。 ほんの少し入れた所で腰を止めてはいるが、抜こうとはしなかった。 快感なんて微塵も感じられない。 強い痛みに涙が出てくる。 痛い、苦しい、けど嬉しい。 今彼を受け入れているのは他でもない僕なのだ。 眉根を寄せた顔が近づいてきて、目尻を舐められる。 身体が屈められたせいで、侵入が深くなり息苦しさも増した。 けれど抜いて欲しくなんかない。 彼の首に腕を絡ませてぎゅっとしがみつく。 「ぅううっ!」 中を割り開かれる。 入り口がさらに広げられ、内臓が圧迫されて苦しい。 力を抜く事なんて出来なくてぎゅうっと彼を締め付けてしまう。 すごく痛くて息がうまくできない。苦しい。 ひゅうひゅうと情けなく喉が鳴る。 彼も苦しいのだろう、僕の頭の横で拳を握っている。 |