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お台所
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皆様、台風は大丈夫でしたか? びしょ濡れで帰ってふと… 桂さんに抱き締めてほしいっ!あたためてほしいっ!と思い、書きました。 駄文ですが、投稿します(>_<) ――――― お遣いに出た藩邸への帰り道。 小降りだった雨は徐々に強さを増している。 そして、いつしか風も出てきている。 「まずいなぁ…。それにしてもこんなに天気が悪くなるなんて」 私はぼやきながらも、風に流されないようにしっかり踏みしめて歩いた。 誰も手が空いている人がいないからと進んで申し出たお遣い。 すぐそこまでだからと、忙しそうに文机に向かう小五郎さんには言わないで出てきたのだ。 小五郎さん、心配してるかな…早く戻らなきゃ! 藩邸まではあと少しなのに、風の強さで思うように進めない。 少し開けた橋の袂に差し掛かったとき、すきま風が勢いよく通り抜けていく。 「きゃあっ」 なんとかその場に踏み留まったものの、傘は骨が折れてしまった。 ぐっしょりと濡れた着物は肌に纏わりつく。 そして濡れた着物が風で冷やされて体温を奪っていく。 私はお遣いで頼まれたものを濡らさないように抱えてひた歩いた。 やっと藩邸が見えてきたときだった。 「小娘さんっ」 私を呼ぶ愛しい人の声に俯いていた顔をあげると、私に駆け寄る小五郎さんがいた。 「無事でよかった」 私は正面から小五郎さんに抱き締められる。 冷えきった身体が小五郎さんの体温でじわりと温まっていく…。 小五郎さんの胸に顔を埋め、思わず私は泣きそうになっていた。 「こんなに冷えて…」 そう言いながら、小五郎さんは私のしっとり濡れた髪を撫でた。 それが少し擽ったくもあり、心地よかった。 「あの…心配かけてごめんなさい」 私が謝罪の言葉を口にすると小五郎さんは眉間に皺を寄せた。 「私に黙ってお遣いに出て、それもこんな天気なのになかなか帰らないとは…」 少し強い口調でそう言った後、「あとでお説教だね」とニコリ微笑んだ。 「だけど、お遣いに行ってくれたのはありがとう」 私は小五郎さんに手引かれて藩邸の門をくぐった。 「小五郎さんまで濡れちゃいましたね」 心配をかけたうえに小五郎さんまで濡れてしまったことに申し訳なさでいっぱいになる。 「いいんだよ」 小五郎さんは優しい眼差しで私を見つめている。 「私も小娘さんも濡れてしまったから、いっしょに湯浴みしようか」 耳元でそう囁く小五郎さんは水気を含んで妙な色っぽさを放っていた。 そのあと私は冷えた身体をぬくぬくに温めてもらい、たっぷりじっくりお説教されたのでした。 END
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