[12]黒子っち誕生日おめでとう!
by トキ
2013/01/31 00:43
黒子っち誕生日おめでとう!
男前な所も優しい所も誰かの為に一生懸命になれる所も全部大好きです!
そんな黒子っちに沢山の幸せが訪れますように。
追記は拙いですがおめでとう小説書いてみました。
こんな事があってもいいと思っての妄想です(笑
[13]キセキ+桃井+火神
by トキ
2013/01/31 00:45
WC終わった後の黒子っちばーすでぃを勝手に妄想してみました!
[14]黒ちんはぴば!
by トキ
2013/01/31 00:48
ピンポーン―――
「ん…。」
ねむい…
ピンポーン、ピンポーン―――
「うぅ、」
ピンポンピンポンピンポンピンポン!
「だあぁぁぁ!っるせぇ!!」
「…火神くん、うるさいです。」
そんなに叫ばないで下さい、眠い目を擦りながら黒子はその言葉とともに小さく欠伸をした。
【Happy Highest】
まだ空気が冷たく、思わず体が震えてしまう早朝。
黒子は、火神によって捲られた布団を元に戻そうと自分の方へ引っ張った。
「おいこら、何一人だけ二度寝しようとしてんだ。」
「だって、眠い…んです。」
ごにょごにょと呟きながら、再び眠ろうとしている黒子を火神は仕方ないと見つめた。
…にしても、可愛いな。思わず顔がにやけてしまう。
激闘のWCが幕を閉じてから数日、昨日から久々に誠凛高校バスケ部の練習は土曜、日曜、二日連続で休みだった。
だが、やはり黒子も火神も超がつくバスケ馬鹿で、昨日はまるっと一日をストバスで費やしていた。
『ハァハァ…あ、もうこんな時間ですか。』
『あー、どうりで腹が減るわな。』
『…さっきテイクアウトしたバーガー食べてませんでしたっけ?』
『あんなもん腹の足しにもなんねーよ。』
すみません、聞いたボクが馬鹿でした。呆れ顔の黒子は持っていたボールを火神へとパスする。
それはいつもの鋭いパスではなく、放物線を描くように緩やかに火神に向かって飛んできた。
『そろそろボク帰りますね。』
『そうだな。時間も時間だし。』
『今日は付き合ってくれてありがとうございました。明日はゆっくり休んで下さい。』
そう言いながら自分の鞄を手にし、彼は立ち去ろうと踵を返す。
夕焼けはとっくに沈み、ぽつぽつと点灯した外灯がコートを照らしている。
そんな中、背中を向けて去っていくその水色に、火神は寂しさを覚えた。
だから思わず掴んでしまったのだ、彼の腕を。
『?火神くん?どうかしましたか?』
『どうせ明日も休みなんだし、今日オレんち泊ってけよ。』
驚くほどサラッと出てきた台詞に、黒子よりも言った本人の方が吃驚していた。
その後、歩みを止められた彼は少し間をおいて、それじゃあ、と火神の提案を呑んだのだった。
そして今に至っているのだが―――。
「…火神くん、寒いです。」
「は?ちょっ!?」
目を瞑ったまま、ぎゅっと火神の腹部に抱きつく黒子。
彼が低血圧で覚醒するまでにかなり時間を要するということは、初めての合宿の時に確認済だ。
しかしあまりにも唐突な行動に、心臓が有り得ない程高鳴った。
一緒のベットで寝てるってだけでも拷問なんだぞ!?
泊ってけとは言ったものの、火神家に予備の布団など無かったのだ。
そこを計算していなかった彼は、結局黒子と二人でベットで寝る派目に。
おかげで睡眠時間はいつもの半分以下だった。
「ん…」
「〜〜〜〜〜っ!!!」
満足したのだろう、小さな声でもう一度自分の名前を呟き、ふにゃりと口元を綻ばせる黒子。
それを見た火神は顔を真っ赤にさせて、思わず口元を押さえながら震えていた。
何だ何なんだこれは何の試練だ!!?
もういっそ一線越えてしまいたい、火神は必死にその衝動と戦っていた。
だが、彼はある事を一つ忘れている。
ピンポンピンポンピンポンピンポン!ピンポンピンポンピンポンピンポン!――――
再び連打されるチャイムの音に、思考は一気に現実へと引き戻された。
「ったく、どこのバカだ。」
俺と黒子の時間邪魔しやがって。
不機嫌な顔を隠すことなく、火神は玄関へ行こうとベットを抜け出す。
「ん、火神くん…?どこ行くんですか?」
「うるせぇからちょっと黙らせてくる。オマエはまだ寝てろ。」
しがみ付くように腕を回していた黒子が目を覚ましてしまったらしく、まだ開ききっていない目で彼を見つめていた。
「…一人、嫌です。ボクも行きます。」
「!!?お、おお。」
まるで幼児のように甘えてくる彼があまりにも可愛くて、幸せを通り越した火神はいっそ泣きたくなった。
そうか…これが蛇の生殺しって言うんだな。
先週の古典の授業で習ったことわざの意味が、やっと理解出来た火神だった。
寝室の扉を開けて廊下へと足を踏み出すと、火神は黒子に抱きつかれたままの状態で玄関へと向かった。
未だに鳴りやまない呼び出し音。
もしもこれが知り合いじゃなければ―――いや、知り合いであっても半殺し決定だ。
そんな物騒なことを考えながら覗き穴を見た火神は、げっと嫌そうな声を上げた。
おいちょっと待て、何でこいつ等が!
「火神くん、誰でした?」
「へ!?い、いや、なんか知らない奴みたいだわ、…オレは何も見てない何も見てない何も見てない。」
「おいこら火神ィ!!居留守使ってんじゃねーよ!」
「そうッス!早くドア開けろー!」
「オマエたち!こんな朝っぱらから近所迷惑なのだよ!」
「そう言うミドチンもうるさいー。」
「…火神、いい度胸だ。」シャキーン
「…………火神く「オレは何も聞こえなかった!!」いや、思いっきり聞こえてますよ。」
「かがみーん、怖くないから早く開けてー?」
じゃないと、アレとかコレとかバラしちゃうよ?
ガチャッ
「待たせて悪かったな!これで満足か!」
「…何で半泣きなんですか、君。」
最後の一言で心が完璧に折れた火神は、半ばやけくそにカギを開けた。
「おっせーし、いつまで待たせんだよ!」
「黒子っちー!やっぱここに居たんスね!」
「…黒子、寝癖が酷過ぎるのだよ。」
「黒ちんおはよー。」
「テツヤ久しぶり。火神あとで●す。」
「おはようテツくーん!!寝起き姿超可愛い!!」
青峰、黄瀬、緑間、紫原、赤司、そして桃井。
なんともカラフルな集団がそこに居た。
「みんな、一体どうして…っていうか、紫原くんと赤司くん秋田と京都じゃ」
「大丈夫、まさ子ちんに部活休むって連絡したから。」
「大丈夫、ボクの言うことは絶対だから。」
「そ、うですか…いや、それでいいならいいんですけど。」
流石キセキの世代、自由過ぎる。
「…はあ、とりあえず上がれよ。」
実際の所招き入れたくはなかったが、こんな朝早くから玄関口で話されるのは近所迷惑だ。
仕方ない、火神は肩を落としながら深くため息をついた。
「へえ、意外と綺麗じゃねーか。」
「火神っちって結構ストイックなんスねー。バスケ関係ばっか。」
「やはり根っからのバスケ馬鹿だな。他に趣味は無いのか?」
「ねえねえおかし無いの?」
「あまり面白みのない部屋だね。」
「あ、やっぱりかがみんってこういう系好きなんだ。…データ更新しとかないと。」
各自が好き勝手部屋を漁る様を、他人事のように見つめる。
どうせ何か言った所で彼らが素直に聞く訳がないのだ。
もうどうとでもなれ、最早火神に気力など残っていなかった。
そんな彼をすぐそばで見ていた黒子は、彼の袖口を掴み小さく引っ張りながら名を呼んだ。
「…あの、火神くん。」
「…なんだ黒子。」
「…何か一気に賑やかになっちゃいましたね。」
「……そう、だな。」
そう言いながら微笑む彼が、嬉しそうで。
本当は文句の一つや二つ言ってやりたかったが、そんな黒子を見た後で言いだせる訳がない。
惚れた弱みってやつか?火神はくしゃりと彼の頭に手を置き、顔洗ってその頭どうにかしてこいと言い放った。
「「「「「「…。」」」」」」
「!?な、なんだよ…」
黒子が洗面所へと消えた後、残された火神に突き刺さる眼差し×6人分。
「…火神、いい度胸だ。」
「…火神っち、覚悟はいいスか?」
「…貴様に黒子はやらん。」
「…ヒネリつぶす。」
「…頭が高いぞ、火神。」
「…かがみん、ご愁傷様。骨はちゃんと拾ってあげるから安心して。」
「お前らこえーよ!!!」
それぞれがそれはもう凄まじい怒気で睨みつけてくるのだ。
堪ったものじゃない。
「ってか、本当何しに来たんだよ!?」
そう、火神には彼らが一体何の為にここに集まったのか分からないでいた。
全員の口ぶりからして、用があるのは明らかに黒子だ。
だが黒子がここに来ていることなど、火神は誰にも告げていない。
黒子も親に外泊するという連絡をしたぐらいで、それ以外に電話をしていたような素振りはなかった。
―――まあその点については桃井が居る時点で大体察しはつくのだが。
「何しにってテツに用があったからわざわざ来たんじゃねーか。」
「そうそう、何当たり前のこと言ってるんスか?」
「今日は特別な日だから来たまでだ。今更何を言っているのだよ?」
「本当は黒ちんの家に行くはずだったけど、こっちに来てるってさっちんから聞いて来ただけだし。」
「ボク達にとってもテツヤにとっても大事な日だからわざわざ会いに来たんだ。…火神、まさか」
「え、嘘。かがみん知らずに昨日からテツくん一人占めしてたの!?」
「は?なんのことだ?」
「かがみん、今日テツくん誕生日なんだよ?」
「…へ?」
たんじょうび、誕生日…「誕生日!!?」
そう言えば確かに1月が誕生日だって言ってた気が…マジかよ!!
「火神さいてー、黒ちんの誕生日知らずに独占してたのかよ。」
「全く、相棒の生年月日ぐらい頭に叩き込んでおくのだよ。」
今日がどれだけ大事な日か悟った火神は、額を抑えながら思わずしゃがみ込んでしまった。
そして彼に容赦なく毒を吐く彼らの持ち物には、よく見たら綺麗にラッピングされた箱や袋が混じっている。
完璧出遅れた!自分の失態を嘆く彼に、同情する者は一人もいなかった。
「ちょっと、皆して火神くん苛めるの止めて下さい。」
そんな矢先、火中の人物が全員の集まるリビングへと戻って来た。
どうやらうまく寝癖は治まったようだ。いつの間にか来ている服も寝間着から私服へと変わっていた。
「だってよテツ、コイツオマエの誕生日知らなかったんだぜ?」
「そうッスよ!なのに昨日から黒子っちを一人占めしてるし!」
「日頃から散々世話になっておきながら、白状な奴なのだよ。」
「黒ちんーやっぱコイツの相棒やめたほうがいいと思うよー?」
「テツヤ、今からでも遅くない。ボクと一緒に頂点目指そう。」
「テツくん!私はテツくんの3サイズまで熟知してるからね!」
「揃いも揃って何言ってるんですか、冗談は止めて下さい。それに、誕生日?」
そう言いながらこて、と首を傾げる黒子。
しばし考えたあと、思い出したと言わんばかりに作った拳で掌をぽんっと叩いた。
「ああ。そう言えば今日ボク誕生日でした。」
いつもと変わらない声色で淡々と告げた彼を見て、火神含めその場に居た全員の動きが止まった。
前から薄々感じていたことだった。彼は他人に対しての観察力はずば抜けているというのに、自分の事となるとそれが全く発揮されないということを。
しかし、まさか自分の誕生日を忘れてしまう程だったとは…。
「…オマエは、自分の誕生日ぐらい覚えとけよ。」
呆れ顔を隠すことなく、火神は全員が思ったことをそう代弁した。
***
「黒子っちー!パス下さい!」
「おいこら黄瀬ェッ!オマエ敵だろーが!テツこっちに寄こせ!」
「峰ちんさせないしー。黒ちんオレにちょーだい。」
「青峰も紫原も同じチームのくせに何を張り合っているのだよッ」
「まったくあいつ等は…」
「あの、これじゃゲームにならないんですけど…。」
気持ちのいい青空の下、賑やかな声がコートを行き来する。
「…なんつーか、相変わらずだな。」
「いいなー、私もテツくんからパス貰いたいよ〜。」
黒子からのボールを受け取ろうと躍起になる黄瀬と青峰。
それにイラついた紫原が二人の前に立ち塞がり、パスルートを封じ込め、緑間は間髪を容れずつっ込む。
赤司は苦笑を浮かべながら彼らを傍観し、黒子は小さくため息をついた。
火神と桃井はコートの端にあったベンチに腰掛け、事の成り行きを見守っていた。
予定外の大集合をしてしまった彼らも、やはりただのバスケ馬鹿。
「あーくっそ!オレも早く混ざりてぇ!」
そしてそんなキセキの世代を見ていた火神もまた、体をうずうずさせながら早くコートに立ちたくて仕方がなかった。
「……ねえかがみん。」
目の前で繰り広げられる、ハイレベルなゲーム展開に釘付けの火神。
桃井は視線をコートから逸らすことなく、そんな彼の名を呼んだ。
先ほどのハイテンションとは打って変わって、落ち着いた声を発した彼女に戸惑ってしまったが、なんだよ?と素っ気ない返事を返すと、桃井は躊躇いがちに口を開いた。
「かがみんがテツくんの相棒で本当に良かった。」
何の脈略も無しに、告げられた言葉。
火神は目を丸くして、隣に座る彼女を見つめる。
柔らかな笑みを浮かべて、その眼差しは楽しそうにプレイを続ける黒子に向けられていた。
「…なんだよ、行き成り。」
「…実はね、去年のテツくんの誕生日、お祝いしたくても出来なかったの。」
中学三年の頃、あんな別れ方しちゃったからさ。
昔を思い出しているのか、少し寂しそうな影を映すその表情に、思わず黙り込んでしまう。
そう言えば全中3連覇後に、黒子はバスケから一旦身を引いたと言っていたか。
「みんなおめでとうって言いたかったのに、どんな顔して言えばいいか分からなくなっちゃってね。まあ私も同じだったんだけど。」
「…。」
「…だから、久々にあんな楽しそうなみんな見て、かがみんが居てくれて良かったって思っちゃった!」
だってかがみんが居なかったら、きっとこんな幸せな時間過ごせなかったから。
必死にボールを追いかけ、忙しなく攻守を続ける色鮮やかな彼ら。
途切れることのないパスの中心は、自分を光だと言ってくれた大切な相棒。
その表情はまるで、楽しくて仕方がないと言わんばかりに輝いていた。
「ったく、オマエらって本当黒子バカだよな。」
「む、何よー!かがみんだってテツくんのこと大好きなくせに!」
「―――ああ。そうだけど悪いかよ?」
言いながらニッと無邪気に笑ってみせた火神は、ベンチから立ち上がりコートへと向かう。
「おい!いい加減チーム替えしよーぜ!」
声高々にそう叫ぶ。あんなゲームを魅せられて、火神が黙ったままで入られる訳が無かった。
それから数回メンバーを替え、試合を続けた彼ら。
気付けば日も落ちだし、もう少しで太陽が沈みそうな時間。
今日もバスケで始まってバスケで終わったな、と一人心の中で呟いたのはベンチで休んでいた黒子だった。
最初は3on3だった試合は、いつの間にか青峰と火神の1on1になっていた。
「おっせーぞ火神!」
「っんのやろッ!」
「…あの二人、あんだけやってまだバテてないとかバケモンッスか。」
「…最早人間ではないのだよ…。」
二人の白熱している試合を傍観しながら、他の面々は地面に座り込み、あがった呼吸を整えている。
「テツくん、ちゃんと汗拭いてね?風邪引いちゃうといけないから。」
「ありがとうございます桃井さん。」
汗だくの黒子に甲斐甲斐しく世話を焼く桃井は、彼に礼を言われ嬉しそうに笑っていた。
「あーあ、そろそろ時間だからオレ帰らなくちゃ。」
「ボクもだ。何だかあっという間だったな。」
近くにあった大きな時計を見上げる紫原。
それに続いて赤司も腕時計を確認し、残念そうに息を吐き出す。
そうか。二人は遠い所から来ていたんだった。
その言葉を聞きながら、思わず寂しさが胸を覆う。だが、黒子がそれを口にすることは無かった。
「みんな、今日はとても楽しかったです。ありがとうございました。」
ベンチから立ち上がった黒子は、紫原、赤司、黄瀬、緑間、桃井と順番に視線を巡らせながら、嬉しそうに礼を述べた。
最初彼らが火神の家に来た時は、本当に驚いた。
しかもその理由が自分の誕生日を祝いに来た、だなんて当たり前のように言われて、さらに耳を疑った。
中学時代バスケ部を退部した後、正直もう二度と全員揃って笑いあえる日は無いのだろうと思っていたのだから。
だがそれは杞憂でしかなかったのだ、現に彼らは今こうして自分の前で笑ってくれている。
―――そしてそう思っていたのは、黒子だけではなかった。
「オレも、黒ちんと一緒にバスケ出来て楽しかった。あと誕生日おめでとー。」
紫原はその大きな掌で彼の頭をわしゃわしゃと撫でる。
「こちらこそ楽しかったよ、ありがとうテツヤ。それから、誕生日おめでとう。」
赤司は試合の時とは違う穏やかなオッドアイで正面に居た彼を見つめていた。
「…。」
そんな不意打ちを食らった黒子は、思わず黙り込んでしまう。
あれ、何だろうこの気持ちは?
「オレも、黒子っちとまたバスケ出来て超超超ー楽しかったッス!それと誕生日おめでとう!」
満面の笑みを浮かべて、でも少しだけ恥ずかしそうに頬を掻く黄瀬。
「…久しぶりにオマエと出来て、その、確かに充実した一日だったのだよ。…誕生日おめでとう。」
仄かに赤く染まっている顔を隠すように眼鏡を押し上げる緑間。
「テツくん!今日もやっぱりカッコよかったよ!!誕生日、おめでとう!」
ありったけの気持ちを乗せて、幸せそうに笑う桃井。
口ぐちにお祝いの言葉を告げる友人たちを、黒子はしっかりと目に焼き付けていく。
そして今まで会話に加わっていなかった彼らも、いつの間にかその輪の中に混じっていた。
「おい、何勝手に盛り上がってんだテメエらっ。…あ〜その、…誕生日おめでと、テツ。」
こういうことに慣れていない青峰は、視線を泳がせながら片手でボールを遊ばせている。
「ははっ流石だな!あの青峰をデレさせるのなんてオマエぐらいだわ!―――黒子、遅くなったけど誕生日おめでとう。」
楽しそうに声を上げて笑う火神は、隣に居た青峰からそのボールを奪い、黒子へと投げ渡す。
しっかりとボールを受け取った黒子は、しばらくの間、目の前に広がる光景に見入っていた。
大切な友人と、大切なライバルと、大切な輝かしい光たち。
今やっと分かった、胸を押し上げるこの気持ちが何なのか。
「…ボク、初めてです。こんなに幸せな誕生日を迎えられたの。」
生まれてきたことを祝ってくれる人がいる。それはどんな贈り物にも勝る最高の幸福。
ひた隠しにしてきた思いが溢れだす。
―――だってもう隠す必要は無いのだから。
「ありがとう、君たちに出会えてボクは幸せです。」
今という幸福を噛みしめて、黒子は思いのまま笑っていた。
1月31日 Happy Birthday!
end
黒子っち誕生日おめでとう!
きっと中学生最後の誕生日はみんなお祝いしてあげられなかったんじゃないかなーと妄想しながら書いてみました。
拙い文章ですが、みんなに愛されてる黒子っちが書けて満足です。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
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