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暗い、な…


自分の身体も見えないくらい暗い


暗さに安心してる僕がいて



やっぱり、眩しいよりも暗い方がいい



――…ん



何か、聞こえた気がする




――、ん、わん!



わんさ、ん…?



暗いのに声だけ聞こえて



どこ、といろんなところを向いても姿はわからなくて



「ど、して…? いつもなら、わかるのに」



そう



暗くてもわんさんの場所はわかってた



なのに今は…わかんない



「わんさん? どこ…?」



わかんない



見つからない



怖い、よ



――わんわん! わん!



どこ、どこと何回も言ってるのに鳴くだけ



近くにいるはずなんだ



とても大きく聞こえるから



「わんさん!!」



僕の、声聞こえる?



「おい! 起きるんだ!」



「…っ、ぇ…あ…」



ぱちりと目を開ければ、どこかのへやだった



「大丈夫か」



顔を上げたら見たことある人



あ…そっか




せっかく家をめざしていたのに、もどされちゃったみたいだ



「…は、い」



家に、帰りたかった



「わ、」



くしゃ、と頭をなでられる



「…無事で、よかった」



その人は安心したように笑う



ぼくはいらないんじゃ、ないの…?



なでられるままにされていた



けど、その手が優しくて気持ちよかった





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