7 雅和side

部下の人に車を出してもらって助席の窓から必死に探していた


手がかりも何もない、ただあの子だったら行きそうだというところを探していた



けど見つからない


どこに行ったんだろう



どうしていなくなったんだろうか



――キキ、



「っ、どうした」



「いえ…犬が」



犬、と聞いて前を向けば



「わん!」



まさかあの子の



「降りて追いかけます、きっと犬についていけば見つかると思いますので」



急いで降りて犬の後を追いかける



俺の真横を走る犬も疲れているのか息が荒い



「わんわん!」



たどり着いたのは一つの小さな公園



そこにある赤い、ドーム状の遊具に滑り込んだ



穴が小さくて入れそうにない俺は穴を覗き込んで目を見開いた



ぐったりとうつ伏せになっているその子を見つけた



「きゅん、くーん…」



その子の顔を舐めて起こそうとしてる犬



けど、起きる様子はない



俺は膝を折って遊具の中に顔を入れた



「…心配、させやがって」



動かないその子を抱えれば、心配そうに見上げてくる



「大丈夫。熱あるけどゆっくり休ませれば治るから」



片手で犬を撫でればわん、とまるで返事をするように鳴いた




+++




家に帰った後が大変だった



ぐったりしたあの子を寝かせて、医者を呼んで犬も疲れたのかずっと眠っていた



医療器具をたくさんつけられて今もなお眠り続けてる



父さんはよくやった、と褒めてくれた



けどよく見る厳しい顔で



「これからはよく考えて発言するんだ」



と言われて、部下の人に不快な思いをさせたんだと痛感した



ピ、ピ、ピと無機質な音が響く部屋



俺はその子の頭を撫でて



「早く、起きてくれ」



と小さくつぶやいていた





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