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「は、はぁっ」


わんさんのあとをついて歩いてどれくらい経ったんだろう


少し…疲れたな


「わん、わん」



くい、と服を引っ張られて向かったのは平たい長い椅子


その下でわんさんは寝そべって僕は椅子に寝っころがってお互いに息を整えていた



「こんなに…歩いたの、初めて…かも」


本当に家に近づいてるのかもわからない



でも今のところを抜けれたのは良かった


わんさんといても苦しかったから


なんともいえない、何を考えてるのかわからない人たちばかりだったから



――ポツ、ポツ


「…? なに…?」


水が、降ってきた



「わんわん!」


起き上がってくい、と袖を引っ張られる



「…どうしたの? 気持ちいいよ、この水」


いっぱい降ってくる水は疲れて暑くなった身体にちょうどよくて



「なんだか水のシャワーみたいだね」


空からのシャワーって綺麗



しばらくぼんやり見ていたらまたわんさんに引っ張られて起き上がる


「もう行く? そうだね。濡れちゃったし」



濡れて重くなった服



でも頑張らないと


僕は何もわからないから歩くのはせめて



「ふ…はぁ…」



重いなぁ…


濡れてるわんさんもきっと同じこと思ってるんだろうな



ふふ、と小さく笑いながら歩いていく



空からのシャワーはまだ止まりそうになかった


止まれ止まれってお願いしたけど聞いてはくれなかった



だからひたすら歩いて、気が付いたら夜だった



「くーん…」


「ここで寝る? 今日はもう休もっか」



本で読んだことのある場所、ここは公園ってところ



「…しらかば公園」


中に入ればドーム形の穴が開いてるところがあって


そこで今日は寝ることにした



「じゃりじゃりだね」


「わん、くしゅん」


ふふって小さく笑ったら尻尾で叩かれちゃった


まるで笑うなって言ってるみたいで



「また明日歩こうね。おやすみなさい」


「わん」



ずっと歩いていたからすぐ眠れた


少し寒かったけどわんさんのおかげでそんなに寒く感じなくなった



頑張ろう、明日も


僕たちの家へ





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