5

明るいのはなんとかならないのかな


目をつぶっても眩しいときがあって目が痛い


それと、わんさんがいない


ずっと待っても走ってくる音もしない


「…探しにいかなきゃ」


迷ってるのなら僕が探さないと


ぺたぺたと壁を触って行くと取っ手があった


――ギィ、


開いた…


待ってて、今行くから


壁を頼りに長い廊下を小さく歩いていった



でも…同じ部屋でいっぱいで


「わかんない…」


戻ろうと思ったけどそれも出来なくて


「おい、お前誰だ」


「っ…」


僕に話しかけてる…?


「お前だよ。どこから入ってきやがった」


どんどん近づいてくるその人の足音


「や…だれ…っ」


腕を掴まれて壁にぶつけられた


「二希家に何の用だ、どこかのスパイなんだろ」


「ち、がっ…ぁう…」


首に手が行って、息が出来なくなっていく


どうしてこうなっちゃったんだろう


僕はただわんさんに会いたくて


ずっと家で一緒に暮らしたいだけなのに


…どうして



「おい、何をしている」


「二希さん! こいつ侵入者です!」


段々音が遠くなってきて何を話してるのか聞こえない


耳も聞こえなくなっちゃうんじゃ、わんさんの鳴き声も聞こえないよ


「っ…か、は…」


突然首の手がなくなって、思いっきりお尻をぶつけた


「けほ、げほっけほ…」


急に苦しいのもなくなって


わけがわからなくて少しだけ目を開けた


でもすぐ眩しくて目をつぶる


一瞬だけ見えた二人


どっちかが僕の首に手を


「おいっ、大丈夫か」


焦ったように聞かれて頷く


いつの間にか耳も聞こえるようになってた


なら、大丈夫


「見つかってよかった。部屋に行ったらいなくて探したんだぞ」


どこか行きたかったのか?


わんさんのところ、に


会いたい…の


そう言いたいのに声が出なくて


息だけが口から出て行った


「…もしかして、犬か?」


犬…?


首を傾げればよいしょと浮かぶような感覚


…何を


「具合悪くなったら服を掴め。今から会わせてやる」


ぽんぽんと頭を優しく叩かれて


お父さん、みたいだった



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