Because you



 人が賑わう街通り。明確な話し声が聞こえるわけでも、ひとつひとつの足音が聞こえるわけでもない。それらが全て混じって喧騒となり聴覚を刺激した。ザワザワという表現は雑踏の中ではあながち間違いではないが、ひとつひとつを掻き分け拾えば、情報として成立するものがこの世には溢れている。
 ヒソカがアリスの元から消えてずいぶんと時が過ぎた。何日、何ヶ月の話ではない。年単位だ。春夏秋冬、アリスは全ての季節を何度も一人で過ごした。
 アリスが最初にヒソカを認識したのは、ずいぶん前のことだ。「売ってほしい情報があるんだ」と、ヒソカはアリスを訪ねてきた。
 生きるために情報を拾い集めては売り、時には失敗して逃げ延びて、いつしかアリスの仕事になった。拾って売ってを繰り返す。ありふれたつまらない日常の一コマ。その一コマにヒソカが現れたとき、その空間だけはひどく鮮明に感じられた。
 太陽輝く夏の真っ青な空のように、その下を吹き荒ぶ渇いた突風のように。見上げれば嫌でも目に止まり、近づけば五感が痛いほどに刺激された。
 もともとアリスに見えていた世界は、モノクロと無味無臭で構成されていたんじゃないかと。それほどまでに色濃く力強く、アリスの世界にヒソカは君臨したのだ。
 現れて、消えて、また現れて。一コマが二コマ、三コマと増えては解像度が上がっていった。
 情報屋と依頼者という関係で続いた時間は長くて、情報と共に拾い集めてしまったヒソカへの感情は、コマでは足りずに連なった。
 掴みどころがなくて、何を考えているのか理解できない。そんなヒソカと過ごすのは不思議と心地よかった。圧倒的な強さを持ち、それでいて自由。生きるために情報を売っているだけの小心者なアリスとは大違いで、そんな生き方ができることが妬ましくもあった。
 妬ましくて羨ましくて……焦がれた。
 アリスがヒソカに憧れを抱くのは必然だったのだ。
 アリスから見たヒソカには、普通じゃないところだってたくさんある。獲物を探すためにアリスという情報屋を使うところだってそうだ。ましてや闘うことを好むだなんてあり得ないと思う。
 だがそれでもいいと思ってしまった。
 道端の雑草は、決して空には届かないし、風を追いかけることすらできやしない。ただ見上げ、近くで揺れるだけ。
 そんなちっぽけな雑草の世界が色づいた。
 世界が色づいて音が響き、香りがあって、温度があった。
 連なった感情が、羨望から恋慕へと変わるのに時間はかからなかったようにアリスは思う。
 その世界をもう少しだけ感じていたいと願った。もう少しだけ、あと少しだけと繰り返してはヒソカの片鱗を知って歓喜した。小心者のくせに浅ましい、アリスはそんな己に嫌気がさしながらも想うことをやめられなかった。

 そんな恋焦がれる男が、ある日突然アリスに告げた。
『目は口ほどにものを言うって知ってるかい?』
 男性らしい出っ張りのある喉元から音がした。
 クククっと、ヒソカが笑うときの響きだ。それはヒソカが愉しんでいるときに聞こえるのだと、アリスが知ったのはヒソカと知り合ってからわりと早い時期だった。
『キミ、ほんとにボクのこと好きだよねぇ
 アリスにとってのヒソカは、雑談を好む男だった。
 用件のみで終わることはなく、必ずと言っていいほどに取るに足らない話をする。少なからず饒舌の部類には入るのかもしれない。自分から聞いておいてつまらなさそうに返事をすることもあった。アリスからすると逆に何が楽しいのだろうと思うほどに、ニタリと笑みを浮かべることもしばしばだ。
 この時点で、アリスとヒソカの付き合いはそれなりに長かった。重ねた時間が多ければ多いほど、その会話数は必然的に増す。だからこそ、アリスはヒソカを少しずつ知ることができたのだ。
 そしてそれはつまり、アリスがヒソカを知っていったのと同じように、ヒソカにも、アリスを知るだけの時間があったということになる。なにより人の機微に聡いヒソカが、気づかないはずがなかった。見透かされていた。
 隠しきれないほどの恋情を当事者から揶揄われて、否定すらもできない。同時に、ここだとも決意した。やめどきもわからず望みのない想いを抱えた自分を断ち切ってほしいと、アリスは肯定の返事をしたのだ。
 秀でた額の少し下、凛々しい眉の片方がわずかに動く。妖しく光る瞳が三日月になったら悪巧みの合図だ。
 アリスは身の程知らずの雑草に下されるであろう鉄槌を受け止めるべく身構えたものだ。唇をきゅっと結んだ。
 だが落ちてきたのは、わずか触れるだけのくちづけだった。
 雑草として踏みつけられる覚悟を決めたのに、返ってきたのは無慈悲な闊歩ではなかった。
 ゆったりとした動作で行われたそれは、避けようと思えば避けられた。けれどもアリスは受け入れた。
 ヒソカにも、わかっていたはずだ。
 駆け引きにもならない駆け引きは、いつだって強いヒソカのものだ。比較にもならないほど弱くてちっぽけなアリスの過ちは、そんな男に心を奪われたこと。
 断ち切ってほしいと願いながらも、やはり未練たらしく望む悲しい性だと言えた。
『それじゃあ、よろしく頼むよ
 ヒソカの唇がにんまりと弧を描く。
 アリスが幾度となく見てきたその仕草は、ヒソカが断定するときに見かけるものだ。
 なんで、どうして。喉まで出かかった言葉は出さなかった。
 いわゆる恋仲と呼ばれるものになったことは間違いないとアリスは認知している。明確な言葉はもらっていない。だがそれでもこの日以降、アリスはヒソカを恋人として扱っていたし、ヒソカもアリスを恋人として扱っていたように思う。
 アリスは仕事を通じてヒソカを知った。ゆえに、ヒソカの狂気性も知っていれば、ヒソカの好むスタンスも知っている。
 したいことはするし、したくないことはしない。
 それがヒソカであり、アリスが艶羨したヒソカそのものだった。つまり、ヒソカは己の意志の下にアリスを選んだということになる。
『キミといるのは楽しいよ それにいろんなことを教えてくれるしね
 他愛もないやりとりの中でヒソカはアリスに言った。
 アリスはそれを忘れたことはない。情報屋という職についていたアリスに利を見出したことは否定できないけれど、それだけでヒソカは人を選ばない。情報なんて金銭で取引できるのだから。
 ヒソカは、興味があるから選ぶのだ。楽しいから、選ぶのだ。
 アリスのなにが楽しいのか。それはアリスにはとんとわからなかったが、それまで過ごした自分を指し示しているのならば、変わらずいようと胸に刻んだ。

 ヒソカは、属さない。
 どこにも属さないということは、誰をもにも属さないということだ。
 人が人として生活するとき、基本的には帰る場所がある。家だったり、はたまた人であったり。己が最終的に帰るのはここだという場所がある。
 ヒソカはホテルや天空闘技場を住まいとしていたから、帰る家という家はない。根も張らず、どこが最終地点なのかもわからぬほどにヒソカは自由だった。
 女は男の最後になりたがるという言葉があり、アリスはそれを聞いたとき、なにを言っているんだと鼻で笑ったけれど、今となっては言い得て妙だと思っている。
 たしかに望んでいるのだ。ふらりといなくなってもいつかは自分の元へ現れることを。
 アリスはヒソカの帰る場所になりたかった。
 どこへ行っても構わないと思えるのは、アリスが惹かれてやまないのが、太陽ほどに眩しく、どこまでも強く、自由なヒソカだったからだ。
 ただ、最後には帰ってきてほしい。突風のごとく現れ、雑草である己を揺らしてほしかった。
 けれども、それをどこにも属さない男に望んではならないということも、嫌というほど理解していた。照らす場所も風吹く場所も、すべてがヒソカの気の赴くままだ。
 飲み込んだ言葉は数えきれない。数えることなど、とうにやめてしまった。
 だから、アリスは代わりに合鍵をわたした。
 いつ遊びに来てもいいよと、軽い口調でついでのように差し出した。恋心と同じように、隠しきれないほどの期待を込めて。
 突き返されてもおかしくないと震えた指先は、分不相応にも雑草が手を伸ばしたように見えたことだろう。その惨めな指先にアリスより一回り以上大きな手が触れたときには、ひどく安堵したものだった。
 それでも合鍵が使われたことは一度だってない。ヒソカはいつもお客様としてアリスを訪ねてきた。玄関の扉をひとり開けて誰かがいたことはない。
『アリスの家にボクがひとりでいるのはおかしいだろ?』
 わざとらしいほどに顔を寄せ、目線を絡ませるのは手のひらの上で弄ぶときだ。
 ではなぜ受け取ったのか。その問いはまた飲み込んだ。
 ただの仕事の関係であればよかったと、歯を食いしばった。道端の雑草のままでいればよかったと、何度も後悔した。あのとき形だけでも否定していればと幾度となく思い、そのたびにそれでも離れられないと打ちのめされた。
 そうでなければ何年も同じ街にいないし、決まった道を出歩かない。

「何年も何年もばかだなぁ」
 陽が傾き始めて、アリスは自宅へと足を進めた。
 今日もまた、自宅の扉を開けてもヒソカはきっといないし、ぽつりとごちた独り言は雑踏に飲まれて誰にも届かない。過ぎゆく人々はアリスを見ないし、きっと存在すらも気づいていない。
 この世界にひとりぼっちな気分だ。
 自宅でひとりきりでいるときよりも、街の人混みの中のほうが孤独だった。あの道もこの道も、あの店もこの店も、全部ヒソカと来た。ヒソカと歩き、ヒソカと話し、ヒソカと過ごした。
 ヒソカという男は、ずるいのだ。
 気まぐれに振り回すくせに、会えたときには極上の甘さを降り注ぐ。いつでも壊せるくせに、手放せるくせに、壊れ物を扱うようにやわらかに触れる。まるでヒソカの玩具箱ではなく、ヒソカの宝箱にいるようだとすらアリスに思わせる。
 愛を返してくれていると錯覚してしまう。そんなわけがないのに、その錯覚に自ら溺れて縋るよう導かれるのだ。
 雑踏から抜け出て、人の流れがまばらになった。多すぎた雑音は意識しなければ取りこぼしてしまうけれど、騒音が減れば難なくアリスの耳腔へ届いてきた。
 情報屋を職にしているのだから、持てる筋を使ってヒソカを探すこともできただろう。けれどもアリスはヒソカを探さなかった。
 アリスにとっては情報は、生きるための術であり仕事なのだ。なにより、アリスが知りたいのはヒソカがどこにいるかではない。ヒソカがアリスの元へ来るかどうかだ。
 そんなもの、いくら情報を漁ったところで出てくるはずもない。ヒソカ本人に聞いたところで、その返事はあてにもならない。ヒソカの心はヒソカにしかわからないし、わからないからこそヒソカなのだ。
 慣れた道には一人分の足音がする。
 ジャリジャリと足から伝わってくる感触が、道の上にある少量の砂や小石の存在を教えてきた。こんなに小さな道端の石ころですらここにいると主張するのにと、アリスは己を嘲笑してしまう。
 流れる景色の片隅にヒソカを探すのは、もはやアリスの習慣だった。
 モノクロの世界はに転がってるのは、いつだって単なる情報だ。
 アリスにとっては見るもの聞くもの、すべてがそこにあるだけで、無感動に拾い集めるだけのものだった。思い入れがなければただのものなのだと、色彩豊かだった思い出がセピア色に変わって知らしめた。
 あと少しで自宅のマンションに着く。オートロックの出入口。セピア色のヒソカはいつだってそこにいる。
 今日だってそれは変わらない。壁にもたれて腕を組み、アリスと目が合えばひらひらと片手を振ってくる。ヒソカがアリスの元を訪れなくなった始めのうちは、その思い出に語りかけそうにもなったけれど、何年も経ったいまとなっては見向きもせずに隣を通りすぎるだけだった。
 思い出のヒソカを見つめたところで虚しくなるだけだと、あちこちにあるセピア色の欠片たちがアリスに教えてくれたから。
 だから今日も、アリスは手を振るヒソカを視界の端に追いやって通過するはずだった。
 その瞬間、アリスの世界に音がした。
「無視だなんて、つれないことするなよ
 低く、一度聞けば忘れない、独特のトーンを放つ耳に残る声だ。無数に散らばる情報のどこかに紛れていないかと、アリスが幾多の音の中から探し続けていた声に違いなかった。
 思い出を通り過ぎようとしたはずだった。思い出が喋りかけてきた。思い出が先を進もうとするアリスの腕を掴んできた。
 思い出だったはずの男が、アリスを振り返らせる。
「やぁ久しぶりだね
 アリスは己が目を見開くしかなかった。目一杯見開いて、言葉なく声の主を見上げるしかできず、瞬間、セピア色が色づいた。
 目頭が、熱かった。アリスの眼球を焼き尽くすんじゃないかと思うほどに熱く、赤い、鮮やかな赤髪がアリスの世界で揺れている。
「……ヒソカ」
 戦慄いた唇からぽそりと出した声は、アリスが思った以上に細く小さかったけれど、ヒソカは満足気に頷いている。
「忘れられてるかと思ったじゃないか
 何もかも見透かす妖しげな目が細まって、いけしゃあしゃあと軽口を叩く。まるでつい先日会ったばかりのように。そんな振る舞いをするヒソカを前にして、なにを言うべきかなんて出てきやしない。
 突如身に降り注ぐ色濃い世界に、ヒソカと初めて向かい合ったときの感覚が頭を駆け巡る。
 圧倒的存在感と強烈なまでの鮮明さがそこにある。鼓膜を震わす低いトーンがそのまま脳に届いて痺れるかと思った。
 セピア色なんて嘘だ。声も音も体温も、全部全部覚えてる。ふわりと香るほのかな香水は、今日に限ってはツンと鼻の奥が痛かった。低い粘着的な声も、腕に伝う確かな人の温もりも。これは本物なのだと、アリスに信号を送り出す。
 アリスは思考がまとまらなかった。会えると思っていなかった。いつかは会えるかもしれないと思っていた。会えると思っていなかった。いつかは会いたいと浅ましく望んでいた。
 出てきたのは、飲み込み続けた言葉だ。
「なんでヒソカは私といるの?」
 どうしてまた現れたの。
 聞いたところで答えが嘘か真実かわからないのに、アリスは問うた。溢れたと言ってもいい。
 長い間、陽に当たることがなかった人間が、突如強い光を浴びると吐き気を覚えるように。何年も何度も飲み込み続けた言葉は、吐瀉物としてアリスの意識しないところで溢れ出た。
 ヒソカの目がきょとんと丸くなる。そんな質問は想定していなかったとでも言いたいのか、切長の目元が一瞬丸みを帯びて、けれどもまたすぐにうすら笑みへと戻っていた。
 そうだねぇと、ヒソカは首を傾げてアリスを見下ろす。まじまじと見下ろして、答えなんて決まっているように躊躇いなく続いた。
「諦めの悪い子は嫌いじゃないんだ
 ヒソカの喉元からクククッと音がする。
 この音を、アリスは知っている。
「仕事柄なのか、もともとのアリスの性格かはわからないけど
 久しぶりに聞く声だ。ヒソカの声だ。アリスに自分のことが好きだろうと告げたときみたく、なにもかも見透かしているような含みを持たせてヒソカは告げる。
「得たものを大事にして、余計なことはしないねキミは たとえ、どれほど欲しくても その姿勢はボクからすると理解できないけど、アリスの忍耐強さは賞賛に値する
 ヒソカの唇がにんまりと弧を描く。
 アリスの腕を掴んだまま、空いている手を顔の高さまで上げて、人差し指をピッとだした。アリスが意識をそこに持って行けば、ヒソカの長い指先には禍々しいオーラが見えた。その先には、いつぞやアリスがわたした合鍵がぶら下がっている。
これ・・はそんなアリスが唯一ボクに手を伸ばしたものだろ?」
 やっぱり見透かされていたのだと、思わずにはいられなかった。そしてそんな風に己を見透かし、その上で自由に振る舞うヒソカを見て、アリスは理解した。理解させられた。
 アリスが飲み込み続けた言葉たち。普通であればいつ爆発してもおかしくなかったもの。それらをどうして己がひたすら飲み込み続けていたのか。
「使ってほしいとは言わないのかい?」
「……うん、言わないよ」
「へぇ
「私が好きになったのはヒソカだから、言わない」
 ヒソカだから。
 その一言に、どれだけの想いを込めたことだろう。けれども、それしかなかったのだ。
 ヒソカだから、言わなかった言えなかった。
 誰かを愛するという行為は、心の一部をそっと相手へ預けるような、捧げるようなものだ。大切に思い愛おしみ、親しみよりなお深い心で寄り添う行為だ。戦地へ赴く戦士が恋人へ言う「心はここに置いていく」「心はいつもあなたのそばに」なんて言葉がいい例だ。

 心を属させてしまうのならば、それはもう、ヒソカではない。

 ヒソカは、属さない。
 アリスが恋慕を抱いた相手は、ヒソカなのだ。ヒソカをヒソカたらしめるもの、それら全てが妬ましく、羨ましく、羨望とともに恋焦がれ、それでもなおヒソカを望んでいる。そんな浅ましい矛盾を再咀嚼する。
 零れ落ちた吐瀉物は、アリスがなにを飲み込んでいたのか明確に教えてくれた。
「オーケー、それなら……
 ヒソカの片眉の跳ねて瞳が三日月に光った。
「いつか、ボクに使わせてみなよ」
 世界から音が消えたかのように、アリスは思った。三日月に光る金色だけが色濃く光って世界がクリアになった。アリスの目の前には、顔を寄せて目線を絡ませるヒソカがいて、音もなにもかもがヒソカの瞳へ吸い込まれてしまったみたいだ。
 幾度となく見てきたヒソカなのに、初めて見る世界のように思う。
 これは、挑発だ。
 目の前のすべてがスローモーションに見えた気がした。
 伸縮自在の愛バンジーガムの先にぶら下がる合鍵が揺れている。使わず、突き返してもいないアリスの家の合鍵をヒソカはずっと持っていた。だからヒソカの手元にあったのだ。
「……一生使わなくていいよ」
「おや、いいのかな
「うん、ずっと持ってていい」
「……ふぅん
「私、忍耐強いから」
「アリスらしい答えだね
 伸縮自在の愛バンジーガムの先で合鍵がまた揺れた。くるんと舞ってヒソカの掌の中に収まった。握られた拳の中に入って、アリスからは見えなくなった。
 ヒソカの手がくしゃりとアリスの頭を撫でる。その仕草はよくできましたとアリスを褒めているかのようだった。正解の選択肢だと、アリスへ告げた気すらもした。
「それより早く家に入れておくれよ お土産買ってきたからさ
 オートロックのドアを開けろと促すヒソカは、柔らかな笑みを浮かべている。胡散臭い笑み。けれどもアリスがいつ見ても眩しく、色濃く鮮やかに見える男だ。
 雑草は、太陽を繋ぎ止めたい恋をした。


パチパチ👏
  - back -  
TOP
- ナノ -