最終話

好きは、一つじゃない。



それが今まで俺を、悩ませていた事実だ。



一つなら、悩んではいなかった。
罪悪感を感じたり、それでも好きなんだって実感させられたり、でも言えないんだって、泣いたりしなくて済んだんだ。



だけど。




好きが一つじゃないから、幸せだってその分たくさんあって。笑う事も、照れる事も、浮かれる事も、大好きも愛してるも、いくつもの好きの中から溢れていて。
笑い合う事が出来たんだ。



そう思うことができるようになったのも、全部。



ムカつくアイツのおかげ。




***

あれから教室に帰り、あっという間に夕方。



「チャイナ、帰りやしょう」
「おー」

鞄を手に下げ、教室の入り口で待つ沖田の元へ走った。



赤く滲む夕日と、青い空が混ざり合う景色が、教室の窓から揺れていた。






相対の空
*end*







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