勘違いに終止符を

歪んでる事くらい気づいてた。


それでも…





いつもの時間
いつもの公園
そしてまた、いつも通り俺とチャイナは戦闘を繰り広げていた。
「今日こそそのむかつく鼻へし折ってやるネ!」
「てめェには無理だろィ。何回目でィその使いふるされた台詞」
「うっさいネ!」
傘から弾が飛び出した。
ひょいっと避ける。
チャイナは笑わない。
いや、当たり前か。
けれど本当は、笑って欲しい。




好きだから。 …なんて。




刀を抜いて応戦しようとしたその時、
「あっあのっ!」
弱々しい声が争いを止めた。

「おっ、沖田さん…ですよね。話があるんですが…」か弱そうな女
か弱そうな身体、声。
その数百メートル先には数人の女。



先が読める。



また、だ。
うざいうざいうざったい。そう思っていた。
最近までは…。



「なんでィ」
わざと優しく呟いて、チャイナを横目で見る。
聞こえる位置にいるが、視線はどっか遠い場所。


つまんねェ。




「あ、あの…私っ!沖田さんの事ずっと見てて…、カッコいいなって。」


カッコいい、ねぇ。



あーあ。チャイナに言われなきゃそんなん全然意味ない。


「それであのっ私、…沖田さんが好きです!」



今までバカにしてきた。ずっと。
顔だけでどうして好きになれる。



けれど、今は違う。
俺は数歩進んで神楽を抱き締めた。
「悪い。俺、コイツと付き合ってるんでィ」



今は、好きになった相手に好きと言える勇気を尊敬してる。



女は「すいませんでした」となぜか謝罪だけを残し、後ろの女達の所にかけていった。



「…いつお前と付き合い始めたアルか」
「バーカ口実に決まってんだろィ」
本当は、そうなればいいと願ってるくせに。
自分の情けなさに泣きたくなる。

実はこの口実を使って神楽を抱き締めるのが目的なんだ、なんてとても言えそうにない。


神楽を自分のものにできたような一瞬の錯覚感。





初めてこの口実を使った時は突き飛ばされた。
『バカダロ!お前バカダロ!神楽様がこんなサドと付き合うワケな…むぐっ』



あん時は口をふさいだっけ。
(そして指を噛まれた)




それからずっと、何回も。神楽の口をふさいできた。



なのにいつだったか、ただ黙って抱き締められるようになって。
抗うのを諦めただけなんだろう。
けど、浅はかな俺は。
醜い期待をしてしまった。一方通行じゃないんじゃないか?なんて。




チャイナは俺を好きだと言ってくる女をじっと見つめていた。
青い瞳の奥に何を思っているのか、知りたい。



「もてるナ、お前」
「俺の本性知ったら皆逃げていくけどねぃ。どっかのチャイナは逃げなかったけど」
「お前なんか、怖くもなんともないアル」
「そーかィ」


「銀ちゃんはモテないネ。良かったアル」


ああ、また旦那かィ。
心臓が痛い。


しかも今回は致死級。
“良かった”ってなんだ。

あー泣くぜぃコノヤロー。


「良かったな。好きな奴がモテなくて」
「は?」





ああ…も、限界。



あんなか弱い女に言えて、俺に言えない訳がない。
「なぁ、チャイナ」












(教えてくれない?)
想いが届かなくても
歪みは止められる、から。
















『好きでィ』
『…やっとアルか』


『え?』
『これから告白で嘘つかなくて済むアルな』






『……マジでか』
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