花が咲くまであと少し

悔しいほどだいっきらいだったのに。いつの間にか。
「好き…ア、ル」

だからどうか、このまま動かないで。
魔法が解けてしまうまで、このまま。



嫌いなんて知ってる。
「チャイナ…」
戸惑った声で呼ばないで。
迷惑なんて知ってるから。
それでも今この瞬間だけ、
傍にいることを許してよ。

今たったこの、ほんの数秒。


「俺は…」


「何も、言わないで欲しいアル。分かってるヨ。私も、こんなのキャラじゃない事くらい、知ってるアル」

きっと、最初で最後。

喧嘩も、会話も、全て。
私のこの行動たった一つで崩れて消える。


思い通りにならないこの世界でこのムカつくサド野郎を見つけて好きになって、それだけで満足していればよかったのにできなかった末路。
泡になって空に消える。

「逃げないでくれて、ありがとう…アル」


ゆっくり沖田から距離をとる。温い沖田の温度と匂い、隊服の感覚が心に焼き付いた。

「サヨナラ…ネ」


踵をかえそうとして、抱きしめ返された。


「…この、早とちり」
「…え?」


「俺だって、アンタが好きでィ。むかつくほどだいっきらいだったのに、いつの間にかむかつくほど好きなんでさァ。責任、とりやがれ」


こぼれた涙が、沖田の隊服を染めた。



「…しょうがないアルな」



むかつく程好きで、むかつく程大嫌い。


きっとそれは、いつか。
むかつく程大好きで、むかつく程大嫌いに変わるから。





今はまだ、もう少し。
花が咲くまであと少し。











めちゃめちゃ短い突発文。
多分10分くらい?
苦情は受け付けません。
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