少し蒸し暑くなってきた今日この頃。
今日は珍しく、万事屋に客が来ていた。しかもこれまた珍しく、真選組の局長。ストーカー…もとい近藤と、マヨラーで副長の土方だ。ろくな奴がいないなと改めて思う。
しかしいつもならいる、もう一人のドSはいない。
「誕生日?」
数秒前まで目の前にあったケーキをごくんとひと飲みして、神楽は近藤を見た。
「そうだ。そこでチャイナさんに折り入って頼みがある」
「断るアル」
「まだ何も言ってねーだろ」
土方が少し不機嫌そうになる。
「アイツ絡みで、ろくな事があった試しがないネ」
「そこを何とか!」
「じゃあ酢コンブ」
「へ?」
「酢コンブ献上するヨロシ」
「…分かった。それくらいなら」
交渉成立。これでしばらくは酢コンブに困らないアルな。よっしゃ。


「ところで何で私がサドの誕生日なんか祝わなきゃいけないアルか?」
凄く普通な、当たり前の質問をしたつもりだったのだが近藤も土方も困ったような顔をした。
「アイツがアンタに惚れ…」
「トシ!」
「……チッ。面倒だな。どうして俺がアイツなんかのために…」
ぶつぶつ呟く土方は、タバコを取り出し火をつけた。ふうっと煙が宙に溶ける。


「ま、まあほら、宴会に花は必要だから」
「……まあ、私はプリティな少女だから気持ちがわからなくもないネ。食い物出るんだろうナ」
「でるでる!山のようにでる!」
「うぉ、マジでか!」
急に目を光らせて笑った神楽に、何故か二人は優しく笑った。時たまみせる銀ちゃんみたいだ。神楽にはまだ出来ない大人の笑み。
アイツもまだ、出来ないよな、多分。





サドの誕生日、アルか…。



ふっと思い出された栗色の髪のヤツは珍しく笑っていて、心臓が驚いたのかドクンと高鳴った。





本日7月2日。
誕生日まであと6日。
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