※死ネタ、捏造、裏が入ります。
それでも大丈夫な方はどうぞ。





総司はその日、あまり体調がよくなかったのか昼過ぎまでずっと寝ていた。
目を覚ましてもなかなか咳が止まらず、俺に合わせて起きなくていいと言うと、総司はだって寝るのが怖いから、と言うからそれ以上は何も言えなかった。

「なんか…さ、もうちょっとで…」
「それ以上言うな」

自分の先を予言するような発言は慎んで欲しい。
土方さんじゃないが、それを総司の口からは聞きたくなかった。

総司は俺が眉間にシワを寄せているのを見ると案の定、土方さんみたい、と言って微かに笑い、腹がたったのでパシッと軽く額を叩いてやった。

その時は少しの間発作も収まったので作った粥を数口食べさせたが、夕刻には熱を出して寝込んでしまった。
俺は夜まで魘される総司の傍を離れることが出来ず、汗を拭う為の布を手に持ったまま何一つ手をつけることが出来なかった。





夜中、何とか総司の体調が安定してホッと安心していると、何を思ったか突然。

「…さいとーくん」
「ん?」
「はじめくんって…呼んでも、いい?」

そう言われて初めて気づいた。
今までたった一度だけ、総司に名前を呼ばれた夜を。

別に拒む理由もないので頷くと、総司ははじめ君、はじめ君と意味もなく繰り返す。
そのたびにあぁとかうんとか返事をしてやるが、次の願いには流石の俺も驚いた。



「ねぇ…抱いてくれない?」



いきなり何を言っているんだ、そんなの無理に決まっているだろう。
そんなことを言って宥めようとしたが、総司は言うことを聞かない。
涙をボロボロ流しながら、俺の腕を病人とは思えない力で掴み訴えてきた。

「こんなこと言ったら君は怒るんだろうけど、でも!最後にもう一度だけ、『君』と繋がりたいんだ!何よりも近くに、君を感じたいんだよ!」
「怒るに決まってるだろう!最後とか、死ぬだとか言うんじゃないと何度言わせる!いい加減にしろ!!」

そんな言い合いを繰り返し俺も本気で怒鳴ったが、総司が息を切らし咳で言葉を詰まらせながらも納得してくれないので困る。

総司の気持ちはわからないでもない。
俺だって、総司を近くに感じたいと思う。
互いに生きているんだと実感したい。

俺たちはもう、色恋を超えた場所に自分がいるのを知っている。
好きだとか愛しているという言葉などでは語れない、この世にそういう表現の出来る言葉は果たしてあるのだろうか…何とも言い難い相手。
土方さんに対するものとは違う、特別な想いがそこにはあった。

俺たちにとって、抱き合う意味も他とは異なる。
愛情の確認ではなくどちらかといえば、哀情。

「…これが、僕の最後の我が儘だから」

そう追い討ちをかけられれば、全ての抵抗が無意味と化す。
どうやら俺も、相当総司に甘い人間になってしまったらしい。

気づいた時には、俺の首は縦に振っていた。



そうは言っても抱くか抱かれるか、総司にとってどちらがより身体に負担がかからないかを考えれば、自ずと総司の『抱いて』発言は却下せざるを得ない。
よって、俺が抱かれることにした。
気のせいか総司が不満そうに見えたが、そんなものは一切無視させてもらった。

身体の状態を考え、衣服は脱がせず帯だけを解いて前を寛がせる。
昨日今日と総司の身体を濡らした布で清めたが、こうして改めて見るとやはり、総司はかつての総司ではないのだと実感した。
脂肪どころか筋肉もかなり落ち、皮膚自体にも艶が無くなってしまっている。
ひどい喪失感が、俺を襲った。

そんなことを考え手が疎かになっていた為か、気づけば総司が俺を真っ直ぐ見ていて困ったように微笑んでいた。

失って辛いのは、俺ではなく総司の方なんだとはたと気づき、気を取り直して総司自身を取り出した。

「お前は何もしなくていい。全部、俺がやるから」

でも頼んでるの僕だし悪いから、なんて曰う口は塞ぐに限る。
素早く口を重ねて舌をねじ込み、昔と違ってあまり動けずにいる総司をこちらから絡ませ掬った。
同時に下にも手を添えて、無理にならない程度に刺激を施す。
徐々に総司の息が上がっていくのを感じ、頃合いを見計らって唇を離せば火照った顔をした総司が一言。

「は、じめく…じょーねつてき〜」
「…うるさい」

誰の為に情熱的になってると思っているんだ、いや俺の為でもあるのか。
そんな一人芝居を頭の中で繰り広げ、結局口には出さずに先に進むことにした。

まずは繋がる為の第一歩。
受け入れる場所を解さなくては…と考えて固まった。

これは…この状況は、俺が自分でそこを解さなければならないのか?
しかも総司の目の前で。
いくら口づけや他のことを積極的にこなしたとしても、それだけは恥ずかし過ぎる…!

顔が熱くて仕方なく、どうすればいいのかと思い悩んで動けずにいると、俺の様子に気づいたのか総司がそっと助け舟を出してくれた。

「僕がやるよ…?頭、跨いで」

微かにでも笑われたのがそれなりにカチンと来たが、とは言っても天秤に掛ければどちらを取るかなど答えは明らかであり、俺は大人しく総司に従うことにした。



「んっ、あぁ…は、うぅっ」

以前ほど巧みな口使いではなく、しかし代わりに必死に解そうとするその感覚が伝ってきて、何より総司の舌が俺の秘部を弄っているという事実が俺の腰を動かした。
そこは最後にしてからかなりの時間を置いている為かかなり固くなっているようで、弛緩よりも快感の方が先に俺を襲い次第に脚が震えて立っていられなくなってくる。
もうこの際、痛いだの何だのと言っていられない。
このまま総司の顔面に腰を落とすくらいなら、痛い方がまだいいと最後の力を振り絞って身体を動かし、総司の屹立をそこに目掛けて宛てがった。

「…はじめくん」
「何だ」

…ありがとう。

挿れる間際に放たれた台詞はかつてのそれと同じもので、何故総司はこんなにもこの言葉を繰り返すのか、何となく理解出来てしまうからこそ胸が苦しい。

「もう…言うな」

ゆっくりと腰を落とし、俺の中に総司を迎え入れた。

こんな風に、総司の心も包み込めたらいいのに。
そんな想いが、俺の心を支配した。







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