室内に堕ちた嬌声が響く。
恐らく、これは外にもだだ漏れだろう。
だが、そんなことすら気にならないほど、目の前の存在が愛おしい。

「ん!あ、ぁんん…、じかたさ…もっ、と、そこぉ」
「あぁ…ここ、だな!」
「あぁぁんっ!」

しっかりと脚を抱えて、いいと鳴くその場所を激しく攻め立てる。

生理的に浮かんだ歓喜の涙を止め処なく流すその顔は、何とも卑猥で可愛くて、とても扇情的だった。

「総司、そろそろ…」
「え…、あ、やんっ!ま、てぇっ…」

限界を訴えて腰の動きを早くすれば、総司はいやいやと泣いて縋りついてくる。
それでも俺は、中の締め付けにもう耐えられずに総司の最奥を目掛けて一際強く打ちつけ、見事射精した。

―――っ、やぁぁああんっっ!!

耳元に、総司の何とも可愛い悲鳴を聴きながら。





「はぁ……起きたくないなぁ」
「そんなこと言うな。俺だってお前とは離れたくない」
「なら、今日はこのまま…」

甘えてくる総司の頭を撫で、額に口づける。

総司がどんなに可愛くても、今日の仕事はこなさなくてはならない。

「お前、今日は巡察だったか?」
「……はい」

だからこそ駄々をこねているんだろう。

上目遣いで見られて、その可愛さに感嘆の息が洩れる。

「わかった。その巡察、俺も一緒に行く。それ以外は一緒にいよう」
「本当ですか!やった」
「可愛いなぁ、ほんとに…」

すり寄ってくるその身体を抱きしめると、総司の素肌があまりにも心地よくて再び欲望が自らを襲いそうになって、仕方なく布団から出ることにした。





朝餉を取るために広間へ向かうと、そこには既に皆が揃っていた。

手に握りしめた温もりを離さずに傍に座らせる。
総司も当たり前のようにさらに座布団を寄せ、べったりとくっついた。

何だか今日はやけに静かだな、などと考えながら、しかし隣で食事を取るその様子を目にして笑みが零れた。

……何でこんなに可愛いんだろう、コイツ。

「な、なぁ、土方さん。今日はどうし「うるさい」

総司を見つめるのに忙しい俺は、問答無用で新八の言葉を遮る。
その様子に総司はクスッと笑い、俺を振り返った。

「土方さん。土方さんもちゃんと食べて下さいね?」
「あ、あぁ…そうだな」

言われて初めて、自分が一切食事に手をつけてないことに気づいた。
慌てて食べ始めると、隣からクスクス声が聴こえて見やる。
すると総司と目が合って、何となく照れ臭くなって今度は食べることに集中することにした。



「うっ、ううっ…」
「新八、元気出せ。大丈夫だ、お前は悪くない」
「それにしても…また、あれかよ」
「……きっと土方さんはお疲れなんだ。そうでなければあんな…」
「大丈夫ですか?斎藤君」
「山南さん、またあんたか」
「いえいえ。今回は私、何も関与していませんよ?」
「今回『は』ってことは、やっぱり前のはあんただったんだな」
「ふふっ…」





総司の巡察に付き合い、屯所に帰ると玄関には出迎えがあった。

「な、な、な……」
「斎藤、落ち着け」
「まぁ、気持ちはわからないでもないよ。二人が手繋いで帰ってくるんじゃ…。まさか、市中見廻りの間もそうやって歩いてたのか?」
「う〜ん。僕としてはそうしたかったんだけど、ね」

…総司、俺もそうしたかったぞ。

だが、俺たちの思いは余所に、市中に蔓延る不逞浪士たちが増え、今日はやけに俺たちに挑んできやがった。
手を繋いだりしたら、咄嗟に刀も握れない。
だから仕方なく我慢した、という訳だ。

「総司、ここならもういいだろう」
「うん、そうですね」

俺の差し出した手を、何の戸惑いもなく握る総司。
繋がれた手から優しい温もりが伝わってきて、何とも言えない幸せを感じた。

「あー、あのさ土方さん。あんまり…、その、俺たちの前でもそういうことは控えて貰えると…」
「そんなことはどうでもいいんだ、平助!今一番大事なのは、土方さんが余りの疲労に壊れてしまったこと!土方さん!総司とは今一度離れ、お休みになって下さい!」
「「嫌だ」」
「ひ、土方さん…」

斎藤が俺に何やら必死になって訴えてくるが、俺は疲れてなどいないしあまつさえ、総司と離れるなど有り得ない。
その思いは総司も同じだったようで、拒否の声が重なった。

「あのさぁ、土方さん、本当に今日はどうしたんだよ?何か、今なら惚気とかホイホイ出てきそうなかんじじゃねぇか」
「確かにな…。な、土方さん。総司の良いところってなんなんだ?」

何でもないことのように左之助が訊いてくる。

はっきり言って愚問だ。

「そうだな、今日は特別に教えてやるか…。まず、あの冴え渡る剣の腕!それから、構って欲しい時に甘えてくるところ、そして甘いものが好きなところ!後は笑うと可愛いところ、鎖骨がいい!それと、興奮すると声が高くな「もういい!わかった!充分にわかったから!」

思いつく限りのいいところを上げたんだが……正直、まだ足りない。
見た目のこととか、感触だとか……言いたいことは山ほどあるのに、途中で遮られて不満が募る。

しかし、隣で総司が感動したように潤ませた瞳で俺を見てくるから、まぁ良しとしよう。

「土方さん。僕、接吻がしたい。今すぐしたい。うーんと、熱いやつ!」
「よし、わかった!」
「ちょ、待て待て待て!するなら自分らの部屋に戻ってからにしてくれ!」

移動する時間も惜しいほど、本当は俺も直ぐに総司が欲しかったが、コイツらに総司の可愛い顔を晒していたくなくて、しばしの考慮の後に総司の腕を取って副長室に直行した。

その日、俺たちは夕飯も食べ忘れて愛を確かめ合った。






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