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結局、俺は自分の欲に従ってあれから何度かやりたいようにやらせてもらった。
最後には意識を飛ばしてしまった土方さんを手厚く介抱させてもらい、隣に横になって朝を迎える。
ただ単に憧れだったはずの隣の人は、今やその唇に口づけたくて悶々としてしまう相手になってしまった。
変われば変わるもんだと思いながら、もうこの人をそういう目で見ないことなど出来そうにない。
…昨夜のことも『なかったこと』には出来ない。
そうやって土方さんを見つめながら何時間か過ごし今後の己の身の振り方を考えていると、気がついた時には窓の外が明るくなっていた。
「…ん…」
小さく洩れた声が、起床を知らせる。
身動ぎが何度か繰り返された後、ゆっくりと目蓋が上がった。
「…左之」
目が覚めて、一番始めに自分を映してくれたことが少なからず嬉しいと思っている自分に苦笑を洩らす。
散々悩んで出した結論を前に、我慢などせずに手を伸ばして白い額にかかった黒い髪を払った。
「…左之…?」
目覚めた朝に、互いにかかった魔法が解けなくて良かったと心底思う。
不思議そうに瞬きする土方さんは、酒の力なんかなくても相変わらず色っぽいしむしろ可愛さすら感じる。
身体だけではなく、心も欲しい。
その気持ちは変わらない。
「土方さん、順番が違うのは百も承知なんだが…付き合わないか、俺達」
唇に口づける前に、好きの言葉を口に乗せた。
―――
裏は長くなる
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