あいうえお作文/い

注:一部キャラ崩壊しかけてます。

―――





『意外』





土方さんという人と付き合い始めて、最近の僕は驚かされてばかりいる。

もちろん相手のことを色々知った上で好きになったし、かと言ってそれまで知っていた事実だけが全てだとは思ってない。

毎日何かしら土方さんのことがわかるようになっていくのは、僕にとってとても嬉しいことだ。

だからいつも充実しているし、付き合えて良かったと心底思っている。

「…土方さん。早く帰って来ないかなぁ…。折角、僕…」

こうして一緒に暮らして、仕事から帰ってくるのを時計とにらめっこしながら待っているのも、悪くない。

ある意味では、恋人のお陰で相手だけじゃなく僕自身のことも新たに知ることが出来た、と言えるのかもしれない。

スースーする足元を気にしながら、テーブルの上に肘をついて頬杖をして待って、暫く。

玄関から鍵を回す音が聴こえて、慌てて立ち上がった。

「…ただいま…」

「あ!ちょっと土方さんっ。帰ってくる時はちゃんとチャイム鳴らしてって言ったじゃないですか!」

お帰りの言葉もそこそこに、出迎えが間に合わなくなることに苦情をつける。

けれどそんな僕の言葉が、いつも土方さんの耳に届くことはない。

「……総司」

「何ですかぁ?」

「…お前、今日は一段と…」

「はい」

「可愛い格好してんじゃねぇか!!」

さっきまで疲れの二文字を顔中どころか身体中で表現していた癖に、僕の姿を見た瞬間に生気を爛々と灯した瞳が嬉々として輝き出す。

正確には、今の僕が着ている…セーラー服を見て。

「土方さんの為に、頑張って新調したんですよ!」

毎回この瞬間の為に色々用意していたから、そういうお店の店員さんとは既に仲良くさせて貰っている次第だ。

まさか土方さんが、コスプレ好きだとは思いもしなかった。

意外過ぎるその性癖は、今はもう僕にとっても大事なオプションの一つになってしまった。

「似合うでしょ、土方さん?」

「そうだな…。なぁ、そのスカートもうちょっと長くならないのか?」

「え?土方さん、長い方が好きなんですか?」

またも意外な発見をすることになり、慌てて捲っていたウエスト部分を元に戻す。

知らなかった…男の人はみんな短い方が好きなんだと思っていた。

「土方さんは、意外と清楚系が好き…と」

ご飯とかお風呂とかそっちのけでイチャイチャして、明日は何が良いか…なんて訊いてみたりして、そんな毎日が楽しくて仕方がない僕は、今夜のご要望通り明日はスッチーを着る。




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