ある朝、佐助は隣で寝ている小十郎を眺めていた。
とても穏やかな顔だ。
はっきり言えば、こんな無防備な姿を毎日とは言わずとも、見る事ができると思っていなかった。
何故?と聞かれれば理由なんて簡単で、自分達は同姓だからだ。
自分の想いを小十郎に伝えるつもりはなかったのに…
「どこで間違えたんだか…」
「なにがだ…」
「あ、起きていた?」
「ああ…」
起きていたのは知っていたけれど、やはり今は寝たままでいて欲しかった。
ちょっとだけ昔に浸っていたかったから。
腕が伸びてくる。
よけても無駄なので甘んじて受ける事にした。
布団に逆戻りした時、思わずため息がでる。
やっぱりこの人は変わっているなと思う。
いつも自分の弱さを誰にも見せないのに、今は離れる事を恐れる子供のように強く抱きしめてくるのか。
こんな甘えたがりだっただろうか…と思う反面、嬉しいと思っている自分がいる。
信用してくれているのがわかって嬉しいのだろう。
そうでなければ、あやすように抱きしめる事はないはずだ。
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