とある風の強い雨の日
佐助は奥州へ文を届ける様に言われ、走っていた
「ついてないなぁ、俺様…」
などとぶつぶつ文句を垂れながら奥州の主、伊達政宗に文を届け、返事を待っていた
そこに政宗がきちんと仕事をしているかと見張りにきた小十郎が来た
「む…」
「右目の旦那」
「そんな格好で何をしている」
「文の返事待ってんの」
「そんな濡れた格好でか…」
「しょうがないでしょー、これしか着るものないし、外は寒いし」
「…俺の貸してやる」
そう言うと、小十郎は佐助を持ち上げ、少し障子を開け、政宗の様子を見てから浴場へ
「ちょっ!!右目の旦那!!」
「うるせえ黙れ、人の厚意を無駄にする気か」
「そうじゃなくて、俺なんかに」
「お前少し黙ってろ、体冷えれば風邪ひくだろ、お前に風邪ひかれれば困る」
「…?」
「繋ぎ役が役に立たなくなったら困るだろ」
「あー…まぁ…」
上手く納得させられ、そのまま風呂に入る。
「……あのさ…」
「なんだ」
「何で右目の旦那も入ってんの?」
「…理由はない」
小十郎の少しの間が気になったが、つっこんで面倒な事が起きたらやだなーなどと考えて何も言わなかった
体が暖まり、次第に今までの疲れがどっときたのか睡魔が襲う
カク…カク…と舟をこいでいる佐助をみてさりげなく支える
(寝ちゃ…ダメ…だ…)
とうとう寝てしまった佐助を優しく持ち上げ、体を拭く
(細くて白いな…)
ちゃんと拭いて、自分の寝間着を着せる
「少しデカいか」
そして自分の部屋へ部屋へ戻り、布団を敷き、寝かせる
「…」
ジッと佐助を見る
男にしては細い体に白い肌
その肌には無数の傷
風呂で見たが背中には傷はなく、佐助の実力が伺える
「…綺麗だ…」
ふとそんな言葉が出た
白い肌に刻まれた傷も何もかもが芸術的で魅力的だった
「…む…俺は何を…」
何故男に綺麗なのだと思ったのか理解出来なかった
今までそんな事を思った事がなく、佐助が目を覚ますまで悩んだ
「…ん…」
「目、覚めたか」
「…うわあ!!」
ガバッと飛び起き、布団から出る
「ごめん!寝ちゃってた…」
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