ある日の昼下がり、俺様、猿飛佐助は恋人である小十郎さんの部屋に居た。
小十郎さんは今週の始めに仕事で出張に行ってしまったので、まだ学生で時間がある俺様が掃除に来ていたりする。

って言えば聞こえは良いんだけど、実際は半同棲しているようなものなので、日常とそう変わらなかったり。

「…よし、お風呂OK、夕飯の仕込みOK。あとは小十郎さんが帰ってくるだけ」

時計を見れば三時半を少し過ぎた頃。
今日の夜に帰ってくるって言っていたから、それまで何してよう。
俺様は身につけていたエプロンを外しながらリビングへ行き、ソファーに横になる。

「早く帰って来ないかな…」

天井を眺めながら呟く。
その時、軽快なメロディーが俺様の携帯から流れてきた。
着信設定でこのメロディーを鳴らすのはひとりだけ。
慌てて画面を覗けばやっぱり小十郎さんの名前が。

「んー?もう駅に着いたのかな?」

聞いていた話しでは今はまだこっちに向かっている途中なのに…。
そんな事を思いつつも、俺様は何時もの様に軽い気持ちで通話ボタンを押した。






気付くと俺様は大きな病院のロビーに立っていた。
小十郎さんからだと思った電話は警察からで、内容は小十郎さんが事故に巻き込まれて今俺様が居る病院に運ばれたと言うことだった。
それで発信履歴の一番上にあった俺様の携帯に連絡してきたと。
警察の人は怪我の状態等教えてくれたが、それは俺様の耳を素通りするだけの単語になっていた。

電話が切れても何も考える事は出来なく、ただただ病院に行かなければと、その事だけしか頭になく、今に至っている。





「すみません、数時間前に救急車で運ばれた片倉の…身内の者なのですが、片倉は今何処に」

総合案内と書かれた受付で小十郎さんの居場所を確認する、
受付の女性は「少しお待ち下さい」と言ってから手元のパソコンで調べ始める。

「えっと、片倉小十郎さんですね。病室は西病棟の4階にあります405号室です」

ご案内致します、と言って席を立ち、俺様の前を歩き出す。
俺様はその人を見失わない様、人混みを摺り抜け後を追う。




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