『小十郎!今直ぐ家に帰って来い!!』

政宗の着信に出た瞬間、そう叫ばれ、小十郎が返事をするより前にブツンと切られた。
まだ今日中に片付けたい仕事があったのだが、政宗の言葉は絶対である。
それに、今日は家に大学の仲間達で集まって飲み会をするらしく、それには小十郎の恋人も来ると聞いていた。
酒の弱い恋人には決して飲ませない様に言い聞かせたのだが……先程の政宗の電話の様子から考えても、嫌な予感しかしない。
素早く荷物を鞄に詰め込むと、小十郎は足早に会社を後にした。





「こじゅろしゃ〜ん!」

玄関を開けた瞬間に飛び付いて来た茜色に、予感は的中したかと小十郎は深く溜息を吐き出した。
今、まさにくっついて嬉しそうに笑うこの茜色――佐助こそが、小十郎の恋人だからだ。

「えへへー…こじゅろしゃぁん…」
「………」

嬉しそうに小十郎の胸板にすり寄って来る佐助は強い酒の匂いがして、かなり飲んでいる(正確には飲まされて、だろう)事は分かっているのだが、いつもは全く甘えない佐助が素直に甘えてくる姿は可愛くて仕方ない。
引き剥がす事も出来ず、くっつけたまま中へと進めば、赤い顔をして飲み比べをしている政宗と元親、そして同じく赤い顔をした幸村と元就が山積みになった饅頭やら団子を鬼のように食べ続けている。

「――政宗様、」
「Ah,遅かったな」

とりあえず座れよ、と笑う政宗に少し苛つきを覚えながらも、いつもの習慣に身体が動き、言葉に従って席に着いた。



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酒は程々に
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