露希さんの作品
「行けー!」
「桃、そこだーッ!」
うるさい。まぁ、応援してるから騒がしいのは当たり前なんだが。ただいま、学年対抗スポーツ大会が行われている。ちなみにアタシは、長身という特権を活かし女子のバスケに配属している(否、正しくは人の意見を無視され強制参加をくらった)
『いつまで桃先輩の試合見てんだよ、次試合だろ』
「もう少しだけ!」
『そうか、そんなに負けたいか』
「行きます!」
負けず嫌い(単純)が揃っていてくれて助かるよ、ホント。女子のバスケは何とか決勝まで勝ち進んでいた。男子は、桃先輩のおかげで負けた。
「どーん!」
『あ、決まった』
さすが桃先輩っていうか、ダンク決まってるな。
「よし、勝つよ」
『勝ってくれなきゃ、アタシがここにいる意味ない』
とか、何とか言ってるけどアタシのクラス地味にバスケは強かった。見事、優勝。イェイ。
『さすがだね』
「いやー、アンタこそ見事なダンクシュートで!」
でも、普通女子でダンクはしないわな。
「おー、お疲れさん」
『桃先輩』
「スゲーな、お前。女子のダンク初めて見たぜ」
『アタシだからッスよ、出来んの』
だろうな、そう言って笑う桃先輩はかっこいいと思う。アタシでも。
「なぁ」
『ハイ?』
「決勝、必ず勝ってやる。そしたら、お前に一番に言ってやるよ」
『何をスか?』
「楽しみにしとけ」
頭にポンと手を乗せてから、桃先輩はコートの中に入っていった。
「桃先輩、どうしたんだろうね」
『…知らん』
さっきの少しドキッとした。頭を撫でられることなんて滅多にないから(身長がデカい為)案の定ってか、宣言通り桃は勝った。
「なぁ」
『ハイ』
「好きだ」
勝つ、
勝って一番に言う
(不覚にもドキッとしてしまった)
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