小説 | ナノ
rain,rain,rain


ずぶ濡れは嫌いじゃないよ。
このまま誰かに見つけてもらえそうだからねと
昔貴方が言っていたから。



スニーカーにしみ込んだって、
窮屈な制服が張り付いたって、

それでも冷えた唇が、
何処かうれしかったの。

テイタイオンな、指先は
かじかんで何も、掴めやしないけど。

どうしてからっぽな時ほど、
満たされてしまうのかな。

傘が無意味とは言わないけれど。
あたしは舌足らずに、
震える声を紡ぐことも、
何でだろうね、嫌いじゃない。

身一つなら、
何処へだっていけたんだ。

わかってるくせ、何一つ離せないから

だからもうちょっと、


あとほんの少しだけ、
逃げ出させて。


2013 8,13 21:21

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