シュガーバター


私の彼氏、似鳥愛一郎は鮫柄の水泳部だ。
鮫柄の水泳部が強いことは知っている。

知っているけれど...ここまで遠距離的な展開になるなんて予想もしなかった。


中学から付き合っているけれど、こんなにほっとかれたのは初めてだ。電話もメールも愛からしてきてくれていたのに、最近では全部私から...

電話をかければ、松岡先輩ばっかり。
たまに愛からメールが来たと思えば...
『松岡先輩が元気ないんだけど、どうしよう(><;)』
...しるかぁあああ!なによ、愛は私よりも松岡先輩が好きな訳?
私の気も知らないで...私がどんな想いでいるかたまには考えてよ...私は愛の何?友達?もう、分からない。


そんな私も、自分勝手で我が侭なのかもしれない。知ってる。
でもね、会えない分すごく心配で不安なの。いくら男子校って分かっていたって、美人な先生とか...可愛くて私よりも好きだと思う娘にどこかで出会っているかもしれないじゃない...?

愛は可愛いし、優しいから、きっと好きになった人には好いてもらえるタイプだと思うから...不安だよ。


会いたい、会いたい、愛に会いたい...


「詩乃?どうしたの?」
「ふぇ?あ、愛...?」
「そうだよ、僕じゃなければ誰だって言うのさ」
「そうだよね、ごめん。愛、今日部活はいいの?」
「部活は今日休み。さっきメールしたよね?」
「え!?メール!?ご、ごめん気づかなかった...」
「今日の詩乃変じゃない?大丈夫?」
「へ、変じゃないよ...変だと思うなら、それはきっと、絶対愛のせいなんだからね...!」



「どうして僕のせいになるの...?」
...鈍感。
「愛のバカ!どうして分からないの?だって...最近ずっと会えてなかったし、メールすれば、全部松岡先輩の話ばっかりじゃない!私、松岡先輩のこと知らないし、もしかしたら私よりも松岡先輩のこと好きなんじゃないかって思うじゃない!」

「詩乃...ごめん。でも、松岡先輩は男の先輩だよ?心配なんてする必要ないのに」
...バカ。最近は、世の中いろんな性癖の人いるんだから分からないじゃない。
「それでも、不安になるものはなるの!それくらいちょっと察してよ!」
なんて我が侭な私。
でも、それくらい愛のこと大好きなの。お願いだから嫌いにならないで。


「そっか、うん。僕も最近連絡できてなかったの自覚してたんだ。だけど、何話していいか分からなくて、つい松岡先輩の話になっちゃって...本当は僕も詩乃の話聞きたかったんだ」
そう、なの?そうなんだ...よかった。

「愛、私ね、愛が思っている以上に愛のこと好きなんだからね!そのこと忘れないで」
絶対に顔は紅くなってると思う。


「僕もだよ、詩乃のこと好きだよ」
ちゅっ
愛から頬にキスされてしまった...恥ずかしい。
いや、初めてじゃないけれど、なんていうか...不意打ちは反則だ。それに、愛はきっと計算でじゃなくて、素でこういうこと突然してくるんだもの。


「愛のバカ...!」
「ふふっ...詩乃顔まっかだよ?」
「う、うるさいっ」




遠距離みたいなもどかしい距離感にまた直ぐに不安になるでしょう。

でもきっと、元に戻るんだ。

甘くてしょっぱくて...
わたし達の相性はぴったりだから。





END







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