かいようせいぶつとわたし | ナノ


桜季節

ジリリリリリリリリッ
目覚ましが部屋中に鳴り響く。


「んんー...うるさい...朝...?」

目覚ましを止めて、また布団の中に潜り込む。
起きたくない...眠い...

「紀紗ー!いい加減起きなさい!真琴くんが迎えに来てくれてるわよー!」

んん...まこと?...真琴?

「まことぉっ!?え!?やだ、こんな時間じゃん!ええええ、新学期早々遅刻とか有り得ないぃいい!!」

バタバタと準備を開始する。顔洗って、制服に着替えて、髪をとかす。

「結ぶのは学校ででいいかな?いいね、うん。髪ゴムだけ持っていこう」

鞄をもって部屋をでる。
急いで下に下りると、玄関には真琴がいた。


「紀紗、おはよ。そんなに慌てなくてもまだ間に合うから何かしら食べてきなよ」
「おはよー...うん、そうする。ちょっと待ってて」

まだ眠たい目をこすりながら返事をして、リビングに食事をとりに向かう。
真琴は急がなくていいなんて言ったけどそうはいかない。結構な時間待たせているはずだしね。あれ?そういえばハルは?

「まほとぉ、ひょうはるふぁいふぁいふぉ?」

玄関に向かって話しかけると、

「休むってさ、紀紗、ちゃんと食べ終わってからしゃべりなよ」

なんて少し説教じみた言葉も返ってきた。
真琴は私の保護者か!って言いたくなるほどに真琴は過保護だったりする。


「お待たせしました。学校行こう!待たせてごめんね」
「ううん、いいよ」

真琴が微笑み、私もありがとうと微笑んだ。

ハルがお休みだから、2人で登校。小さいころから変わらないこと。
私にも流石に女の子の友達だってちゃんといる。でも、基本は幼馴染と一緒に居ることが多い。みんな小学生から持ち上がりのメンバーだからか周りは自然に理解してくれているらしい。おかげで2人(男の子)とばっかり一緒にいることで苛められたことは1度もない、有難いことだ。



始業式も終わり、HR。
担任の先生は新任で 天方美穂先生というらしい。
優しそうで、綺麗な先生だなぁ...
ぼんやり窓の外を眺めているうちに放課後になっていた。


「真琴!今日、ハルの家行く?」
「ううん、今日は行かないよ。明日の朝迎えに行こうと思ってる。流石に2日間も休ませるわけには行かないしね」

困ったように真琴は笑っていた。

「そうだね。じゃあ、明日は私も早く起きてハルの家に行くよ」

じゃあ、また明日とお互いに手を振って別れる。
紀紗のことも迎えに行こうか?なんて、真琴ってば本当に保護者みたいなんだから。


家までの経路にある桜の木。
もう蕾も膨らんでいて、所々咲きそうな状態だ。桜の木の幹に触れ、目を閉じた。

ああ、またこの季節になったんだね。もう今年で5回目か...桜を見ると思い出すよ、凛ちゃん...貴方はまだオーストラリアに居るの...?


小さな声で呟いた言葉は誰にも聞かれることもなく、春の風にかき消せれていく。

閉じた目を開き微笑むと二つに結んだ髪を揺らしながら、桜の木を後にした。







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