かいようせいぶつとわたし | ナノ


ソレイユとの再会

「ほんと、何年ぶりだろう、スイミングクラブが閉鎖してから会わなくなったもんなぁ」
「うん、僕、ハルちゃんたちとは別の学校だったから余計にね。あっ!プールのそばに桜の木があるんだ!確か、ハルちゃんたちの小学校のプールにも桜の木があったよね」
「だから、ちゃん付けはやめろって」
「ん?だって、ハルちゃんはハルちゃんだし」

まさに天使のような瞳でハルを見つめる渚くん。そんな渚くんに、ハルもなんだかペースを崩されている気がする。ちょっとムスッとした顔をしている。

「だけどあのプール、古くて使われてないんだ。水泳部もない」
「それじゃあ、今は何処で泳いでるの?」
「競泳はもうやめた」
「うえぇっ!?なんでなんで?高校に入ったらまたハルちゃんと一緒に泳げるの楽しみにしてたのに」
「いつまでも子供じゃないし、小学校の時みたいにはいかないんだよ...」

なんだか、意味ありげな言い方。まぁ、なんとなく分からないでもないけどね...

「ハルちゃん...」
「まぁ、でも競泳はしないってだけで、水は好きだよ。ハルは水なしでは生きていけないから!夏は海で泳ぐし、今日だって朝から水に浸かってたしね」

流石、真琴!ナイスフォロー!

「そうだよ、渚くん!私も中学に入ってから競泳はしてないんだけど、水も泳ぐのも好きだよ!それに、真琴の言うとおり、ハルは家にいる時お風呂場にいる確率1番高いと思うし...!」
「紀紗ちゃんも競泳やめちゃったんだ...あれ?でも、それって水泳関係なくない?ただのお風呂好きじゃ...あっ!だったら温泉部とかいいんじゃないかな?つくろうよー温泉部ー!」

温泉部かぁ...それはそれで楽しそうかも!
にしても本当、渚くんはハルになついてるね、かわいい。

そんなことを思っていたら、真琴の視線が動いたのがわかった。視線の先を見ると、赤髪の女の子。ん?...誰かに似てる?




「ねぇ、そういえば知ってる?小学校の時通ってたあのスイミングクラブ、もう少しで取り壊しになるって...だからっ、その前にっ!みんなで行ってみない?」

渚くんはそう言いながら、ペンギンみたいにパタパタピョコピョコ階段を下りていく。

「あれを掘り起こしに?」
「そう!夜にこっそり忍び込んでぇ〜」
「行くなら勝手に行け!」
「そんなこと言わずにさぁ、ハルちゃんも一緒に行こうよー!」
「行かない」
「面白そうだと思わないのー?」
「思わない!」

うあぁぁ〜とうなだれる渚くん。

「せっかくだし、行ってみようよ」
「嫌だ!面倒くさい!」

こりゃ本格的に拒否してるな。あーあ、ハルったら...しょうがないんだから。

「でも行けばプールもあるよ!」

お!真琴が動いた!そして、ハルもちょっと反応したよね?

「お風呂場とかじゃなくて!」
「もっと大きなプール」

私と真琴で後押しする。くるっと振り向いたハルの目はキラキラしていた。やっぱり、泳ぎたいんだね、ハル。



その場は解散となり、放課後ハルの家に集合することになった。






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