かいようせいぶつとわたし | ナノ


春ノ不調〜シャチside〜

「なんでわざわざ迎えに来たんだよ」
「だってハル昨日の始業式来なかったからさ」
「休むって電話した」
「じゃあ、新しいクラスの事は聞いた?」

黙りこんだハルの代わりに紀紗が口を開く。

「ハルと真琴と私はまた同じクラスだよー!席も自由だったから私たち近くなの!」
「今度は1組。担任は新任の女の先生で、初日からさっそくあだ名がついててさ、古文担当なんだけど...」

俺と紀紗で説明していると、ハルの目線は海へ。

「早くあったかくなって泳げるといいね」
「ねー」

フイッとそっぽを向く仕草もいつもと変わらない。紀紗も同じことを思ったのかふふっと笑っていた。


教室に入り、クラスメイト何人かと挨拶を交わしながら席に向かう。先に席に向かっていた紀紗がハルに向かって声をかける。

「ハル!ハルの席ここだよ!真琴の隣で、私の後ろ!ね、近いって言ったでしょ?」
「そうだな」

えっへへーんと満足げな紀紗に対して、若干呆れ気味なハル。対照的すぎるのと、変わりのない時間に安心して笑みがこぼれた。


天ちゃん先生が教室に入ってきたことを合図にみんなが席に戻りHRが始まった。
出席確認で先生が名前を呼び、呼ばれた生徒が返事をするやり取りが何回か繰り返される。

「七瀬遙さん」

あ、やっぱりか。ハルの名前で先生は女の子だと思ったらしい。これもいつものことだ...クラスの大半は、ああまたかという感じだったけれど、少数の人はクスクスと笑っていた。

「先生!遙は男です!」

気を使ったつもりで言ったけどこれは失敗だ。さっきよりも...というより今度はクラスのみんなが笑っている。目が合った紀紗に「まこと、ハルおこってるよ」と口パクで知らされた。すぐさまハルに手でごめんという仕草をしたけど、フイッとそっぽを向かれてしまった。その姿を見た限り「余計なこと言うな」とか思ってるんだろうなぁ。

「ごめんなさい、七瀬くん。確か昨日はお休みだったわよね。新しくこのクラスを受け持つことになった天方美穂です。よろしく」





あー...2人してぼーっと窓の外眺めてる。ハルに至っては溜息もついてるし。にしても、やっぱり紀紗いつもより元気ないよなぁ。まぁ、もう何日かすればいつも通りに戻るんだろうけどね。

「お昼、屋上で食べない?」
「...食べる!屋上いいね!真琴ナイスアイディア!」
「じゃあ、行こうか。ハル、行くよ」



この時、同じ校内の別の場所で、金髪の少年と赤髪の少女がぶつかっていた。
金髪の少年に出会うまであと少し。




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