マリーゴールドイノセンス | ナノ


▼ 欲張りなロッカー〜ranmaru side〜

アイツの元気がないと何でか調子が狂う。まぁ、その原因が俺だってことは察しがついていた。アイツは分かりやすく好意を向けてきてたし、俺と春歌が付き合いだしてからというもの、急によそよそしくなってたからな。

「ランマルはさ、カナタのことどうしたい訳?」
「…別にどうもしねぇよ」
「ふーん、そう」

俺だって、よく分かんねぇよ。俺には春歌がいる。俺が春歌以上に愛せる奴はいないから、アイツの気持ちには応えらんねぇ。だからといって冷たくする気にもなれねぇから困ったもんだ。それを藍の奴は気に入らないと言ってきやがる。一ノ瀬もそんなようなこと言ってたな…。正直な話、ごもっともだと思ってる。中途半端な優しさはアイツを苦しめることくらい分かってる。俺も餓鬼じゃないからな、初めから分かってた。

「蘭丸先輩…!お疲れ様です!」
「おう、調子はどうだ?」
「…はい、何とかなりそうです」
「悪ぃな、急に編曲なんて頼んじまって」
「い、いえ!私の仕事ですし、問題ないです…それに……や、やっぱりなんでもないです!えへ…」

頬を染めて困ったような笑顔を浮かべる彼方。わかりやすい奴。春歌とは違う意味で愛しい。

「サンキュな、助かってる」

そう言ってクシャりと頭を撫でてやれば、今度は曇りの無い笑顔を浮かべた。彼方には、ずっとこの笑顔でいて欲しい。それを阻んでいるのは俺で、分かっていても尚、まだ彼方を手放したくない。最低だ。本当に、最低な先輩で悪い。もう少しだけ、我慢してくれ。もう少しだけ、お前の好意に甘えさせてくれ。





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