ショコラオランジュ | ナノ

砂糖の告白




「えっと...なんていうか、その...坂下さんの事が好きなんだ!」

放課後屋上に呼び出されて告白された。漫画でみるようなベタな展開。しかもその相手は水泳部の部長の橘真琴くん。特別目立ってモテている訳では無いけれど、優しくてカッコイイと女子の間では密かに人気があったりする。

どうして?彼に好意をもたれるほど接点はない気がする。確かにクラスは去年も今年も同じクラスだけど、業務連絡程度にしか話したことはないし...なんで...?

「あの、橘くん...私、その、橘くんのことよく知らないし...!ええと、ね、業務連絡程度にしか話したことがない私を好きになったって信じられないっていうか...」
ああ、言葉間違えた気がする...これじゃ、橘くんを信じられないって言ってるようなものだ。違うのに...上手く言えない。テンパっているのだと自覚せざるをえない程に焦っている。なんせ、告白なんてされたのなんて生まれて初めてなんだもの。

「ごめん。本当急すぎたよね...でも坂下さんのこと好きなのは本当なんだ!そう簡単にOKして貰えるなんて思ってないし、俺頑張るから...!だから、その、俺が坂下さんのこと好きってことだけ知ってて欲しい」
一気に言い切ると、橘くんはおどおどと目を泳がせた。
「え、うん。あ、ありがとう...?」
本気で想ってくれているのが伝わった分、逆にどうしていいか分からず当たり障りのない返事をしてしまった。

「じゃあ、もし良かったら、まず友達になれたらいいななんて...ごめん、図々しいかな...?」
「いや、図々しくはないよ?じゃあ、お友達からで、改めてよろしくね」
「うん...!ありがとう...!」



ちゃんと話をしたのは殆ど始めてなのに、頬を赤くさせて、嬉しそうに笑う橘くんをかわいいと思うなんて失礼かな?


8月の終わり、私と橘くんはお友達になった。







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