英傑達との会合の後 遺物調査に向かうも
今日の発掘では 大きな成果を得られなかった
厄災が復活を迎える迄に 遺物の全てを理解し
迎撃の準備を整えねばならない
占い師の予言が現実になるのなら
あまり時間はのこされていない筈だ…
考えを廻らせていると 不安ばかり襲ってくる
今夜は もう休もう
追記:明日 御父様の指名で 彼が私付の騎士に着任する…

神獣ヴァ・ルーダニア調整の為 ゴロンシティへ
…背後にずっと彼の視線を感じ 疲労を覚えた
初めて会った時から感じてはいたけれど
彼は本当に無口で 何を考えているのか分からない
お蔭で余計な想像をしてしまう… 退魔の剣に選ばれた彼は 私の事をどう思っているのだろう
ハイラル王家の娘に生まれながら 封印の力を
使えない私を… 彼は蔑んでいないだろうか?

今日 彼に酷い事を言ってしまった
調査の成果が上がらず滅入っていた時に
何度も同行を断った彼が現れ 思わず叫んでしまった
でも私が何故怒っているか分からない様子だった
申し訳無いけれど そういう処は苛立ちを覚える

今日は日録を どう書いていいのか判らない
自分の気持ちが 上手く文章にならない
彼が私を助けてくれた
イーガ団の刃から 私を護ってくれた
私は散々 彼を邪険にしてきたのに
自分勝手な苛立ちを 彼にぶつけてきたのに
明日 今までの事を謝ろうと思う
そして彼と…リンクと少し話をしてみよう

リンクと少しずつ 話が出来る様になってきた
実は彼は健啖家で 何でも美味しく食べるそうだ
思い切って なぜ普段は無口なのかと尋ねると
リンクは言い難そうにしていたが 答えてくれた
何かと他人に注目される彼は 常に模範足れと
意識し やがて感情を表に出せなくなったという
私は彼を 才能に恵まれ苦悩とは縁が無い人だと
思い込んでいたが そんな事は無かったのだ
どんな人にも 他人からは見えない悩みがある…
私は自分に精一杯で そんな事も分からなかった
もっとリンクと話をして もっと想いを聞きたい
そして 私の悩みを彼に打ち明けられたら と思う

御父様に もう遺物研究に関わるな と厳命された
封印の力を得る為の修行に専念しろと
悔しくて情けなくて 言葉が出なかった
幼い頃からずっと… 私は やってきたのに
修行を始める前年 御母様が急逝した…
私は 母と師を同時に失ってしまった
御母様は笑顔で言っていた… 大丈夫 ゼルダ
貴女なら直ぐに出来る様になる…と
でも私は出来なかった…何度やっても何時まで経っても… 封印の力を宿している筈なのに
明日はリンクと 力の泉へ修行に赴く予定だ
でも また徒労に終わるのだろう…きっと…

昨晩 夢を見た… 闇に覆われた場所で
光に包まれた一人の女性が 私を見つめていた
彼女は人ではない…私は そう直感した
精霊か女神か よく判らないが とても美しかった
彼女の唇は動いていたが 声は届いて来なかった
聖なる力を持っていれば 聞く事が出来たのか
それともあれは 私の悩みが生み出した只の夢か
…答えは直 否応なしに出る筈だ…

今日 私は17歳になった
知恵の泉での修行が許される日を迎えたのだ
リンクが迎えに来たら ラネール山へ出立する
他の英傑達は 麓まで同道してくれるそうだ
あれ以来 御父様とは顔を合わせていないが…
まだ気まずい… ここへ戻った時 会いに行こう
………
………
実は あの夢を見てから感じている事がある
無才の姫の言葉など 誰も信じはしないだろうが
私は今 途方も無く 強い胸騒ぎを覚えている

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