『族長日記』
マキ・ア・ルージュ

母様は 天にのぼり神になった…
そして わらわは今日から
このゲルドの街の長となった
母様が神になったのは
喜ばしいことだとわかっているが
神様ではなく 母様として
ずっとわらわの側に いてほしかった

族長になってから
街のみんなは 前よりも優しくなった
でも みんなの目は
以前よりも 不安そうだ
母様…
ルージュは 母様のような立派な族長に
なれるのでしょうか…

ゲルド砂漠に 眠っていたはずの
神獣 ヴァ・ナボリスが 突然あらわれた
母様から ナボリスは
ゲルドの街の守り神様だと聞いていたが
本当にそうなのだろうか…
明日 調べにいこう

パトリシアちゃんと共に
ナボリスに近づいてみた
すごい砂嵐と雷だ!
こんなのが街にきたら
ひとたまりもない…
もどろうと思った時に
パトリシアちゃんが魔物に驚き
ナボリスの方に 向って行ってしまった…
わらわの記憶はそこで途切れた…
めざめたらビューラが心配そうに
わらわの顔を のぞきこんでいた

神獣の調査以降 ビューラは
片時も わらわから離れようとしなくなった
そんな時 この国の宝が
盗まれてしまった
ビューラは自分のせいだと言って聞かないが
わらわが 族長として未熟だったのが
一番の原因だ…
皆はそんなことを
一言もいわず 宝の捜索にはげんでくれているが
無力な族長だと思われているに違いない…

兵たちの必死の捜索で
宝を盗んだ賊のアジトを突き止めたようだ
しかし賊は かなりの手練れのようで
アジトに近づく事すら できないようだ
雷鳴の兜は 目の前だというのに…
母様…
ウルボザ様…
どうか わらわをお導きください

わらわの願いが 届いたようだ
英傑を名乗る者があらわれた
名をリンクというらしい
ビューラはひどく警戒していたが
我が国の宝を 賊から奪い返し
ナボリスを大人しくさせた その力に
今ではすっかり 信用しているようだ
あの者が ヴォーイだということも
すっかり忘れているようだ
…いや 忘れたふりをしているだけか
ふふっ あの堅物のビューラが
ヴォーイに 心を許すとはな…

あの者が またやってきた
雷鳴の兜を貸してほしいらしい
すんなり 渡してやりたいところだが
あれはこの国の宝
さすがに気軽には渡すことはできなかった…
街のみんなの 悩みを解決するなど
少し 無理をいってしまったかもしれん…
それにしても あの者が来る前は
わらわは 毎日悩んでいたが
最近は 毎日が楽しくて仕方がない
いつか共に スナザラシラリーで
手合わせ願いたいものだ…

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