昨日 遠き地の友 ハイラル王国の王妃が
ゲルドの街にやって来た
授かった赤子を 早く見せに来たかったらしい
名前は ゼルダ
時折り浮かべる笑顔が とても可愛らしい子だ
王妃に似て 美人に育つだろう… そう伝えると
器量より幸せに恵まれて欲しいと 彼女は言った
娘を見つめるその姿は とても幸せそうだった

王妃の葬儀に参列してから少し経って
ようやく これを書く気になった
突然のことで いまだに信じられない
彼女との思い出が蘇り いまも涙をこらえている
葬儀の間 まだ幼いゼルダは 毅然と前を向き
亡くなった母を 送り出していた
その姿は とても立派だったが…
彼女の頑張り過ぎが 心配になった

ハイラル王国へ表敬に赴く
王との謁見の後 1年振りにゼルダと会った
泉に修行に行く と言う彼女が気になり
王の許可を得て同行する事にした
彼女は 耐えがたい寒さの中 日が落ちても
ずっと泉の中で祈りの行を続けた…
何度も やめるように告げたが 聞く耳を持たない
彼女を 水の中から無理やり引きずり出した
弱々しい表情で私を見上げた彼女は
課せられた任が果たせない焦りを口にした
歴代の姫がしてきた事が どうしても出来ない…
そう呟くゼルダを 思わず抱きしめていた

今日 ハイラル王国からの使者が訪れた
私に 神獣の繰り手となる事を頼みたいそうだ
族長が このような危険な役目を… と
危ぶむ者もいるが この依頼 受けるつもりだ
厄災の復活はハイラル王国だけではなく 世界に
関わる問題であり 我がゲルドとの関わりも深い
もうすぐ ゼルダが正式な回答を求め
ここを訪れるという…
彼女に逢うのが楽しみだ

ハイラル城での叙任式に参加…
運命を共にする仲間達と 英傑に任ぜられた
ゼルダ リーバル ミファー そして リンクは
次の時代を築く若者達だ
私とダルケルは 彼らを支えていこうと思う…
だが 少し気になる事もあった
ゼルダのリンクへの態度…
理由は想像出来る
リンクは ゼルダの護衛役にも選ばれたそうだし
仲良くやってくれればいいが…

今日 リンクが会いに来た… 男子禁制の掟を
利用したゼルダに 撒かれたと言う
私が知恵を授けてやり 街に入る事は出来たが
ゼルダは見つからなかった
彼女がここに来たら連絡する約束をして
一旦 引き揚げさせた
彼も ゼルダとは違う意味で 不器用な処が有る
ある意味では似合いの二人だ

今日は ゼルダと共にナボリスで遺物調査へ…
疲れた彼女は 陽が落ちると眠ってしまった
リンクに連絡を取ると 彼は驚くほど早く
ナボリスに現れた
余計な世話かも知れないが 私にしてやれる事は
これ位だと思い ゼルダの事をリンクに話した
後は二人が 自分達で何とかしていくしか
無いだろう

最近 ゼルダはよく笑うようになった
リンクとの仲も 良くなってきた様子だ
これが あの子の修行に良い影響を
与えてくれると いいのだが…
しかし 果たして間に合うだろうか
各地で異変や魔物の出現が 増えていると聞く
ゼルダに… 御ひい様に時間を与えてくれと…
私は祈ることにしよう
神にではなく
あの子の母… 私の友に

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