時は 100年前
厄災ガノンが ゼルダ姫を飲み込み
ミーとプルア女史が
リンクを回生の祠に眠らせてから 数日後の話
それでは チェケラ!
インパ様をカカリコ村に残し
ミーとプルア女史は カカリコ村を出た
このまま カカリコ村に留まって
三人まとめて 厄災ガノンにやられてしまえば
いつか目覚めたリンクに ゼルダ姫の伝言を
伝える者が 居なくなってしまう…
つまり 語り部は 一人でも多い方がよい
という結論だ
そのために ミーやプルア女史は インパ様の元…
カカリコ村を離れ 生き延びねばならん
幸いな事に ハテール地方とアッカレ地方に
大きな古代エネルギー溜まりを 発見した
この近くに引っ越せば ハイラル城に居た時の
厄災ガノン封じの研究も 続けられるだろう
プルア女史と じゃんけんの結果…
ミーはアッカレ地方に 引っ越すことになった

いざ アッカレ地方に
…と思ったが まずプルア女史を ハテール地方の
古代エネルギー溜まりまで 送る事になった
プルア女史が「か弱い女子を一人旅させるのか」
と ゴネたからだ
あのワガママさえなければ 容姿端麗 頭脳明晰
スタイル抜群の 完璧な女性なのだが…

ハイラル城で使っていた
彼女(ハー)の勇導石を リアカーに乗せ
インパ様と再会を約束し ミーとプルア女史の
二人は カカリコ村を後にした

ナリシャ高地を南下 シェーラ湖を渡り
クロチェリー平原から ハテノ砦へ
ハテノ砦…
そこは リンクが大量のガーディアンと戦い
力尽きた かの土地である
ハイラル王に 剣の腕を見込まれ
ゼルダ姫お付きの騎士となった リンクだったが
このガーディアンの 数の前には
流石の天才剣士も 成す術が無かったろう
すまんかった リンク…
こうなる前に ガーディアン研究の
第一人者である このミーが
対ガーディアン用の武器を 渡していれば…
と ハテノ砦の数十体のガーディアンの亡骸を
前にして 思った次第である

そのように しばらく感慨にふけっておったら
先行していた
プルア女史の姿が 見えなくなってしまった
まぁ ここから目指すべきハテノ村までは
比較的安全な道のりだし
大厄災のダメージが少ない ハテノ村なら
一人でも 何とかなるじゃろう…
と思い 後を追うまでもなく
プルア女史とは無言の別れと あいなった
そしてミーは その足で
カカリコ村へ 引き返したのだ

さて プルア女史を見送った後は
(正確には見送ってないが)
今度はミーが アッカレ地方に出発する番である
カカリコ村に到着後
残った勇導石をリアカーに乗せ すぐさま出立
改めて アッカレ地方へ
村を出て ドゥエス島群を抜け トモエ山道へ
アッカレ大橋を渡れば アッカレ地方となる
一面に広がる 赤い葉を眼下に
シャトー峠を越え オルドーラ盆地を北へ
「何も無い」で有名な アッカレ地方だが
本当に何事も無くて よかった
道中 何度かガーディアンに襲われたが
ミーはプロである
ガーディアンの動きを止める事なぞ
赤子の手をひねるのも同然
そうこうしているうちに アッカレ灯台に到着
リアカーから 勇導石を下ろす
流石は灯台 魔物の行動を見張る事に関して
これほど頼もしい場所は無い
以降 ここをねぐらとする事にした

一人きりでの研究が始まった
いつ目覚めるかも分からない リンクのために
果てしなく長い 古代兵装の研究である
コーヨウ台地から青い炎を運んでは
素材を溶かし精錬後 古代装備に成形
研究たるもの 一日にして成らず
毎日が同じ作業の繰り返しである
そこで ミーはいい事を考えた
素材の精錬を 自動化すればよいのである
思い立ったミーはすぐさま
勇導石を改造する事にした
古代素材を入れれば 素材を精錬してくれる
そんなナイスな機械
機械の名前は ミーの初恋の相手…
チェリーちゃんだ
フォー!! 素材をチェリーちゃんに渡せば
古代兵装に交換してくれる! これはいい!

数年後 勇導石はチェリーちゃんへと姿を変えた
が 研究は終わらない
どうせなら 素材の精錬だけでなく
古代兵装へと 成形までさせてしまえば
誰でも お手軽に
古代兵装を作れるんじゃないか?
ついでに チェリーちゃんを
喋れるようにしたら もっと可愛い(プリチー)かも?
…と変な欲にかられたが最後
ここからが長かった
古代兵装への自動形成は 困難を極め
何十年の歳月も無駄にした
また どこでどう設計を間違ったか
話す言葉も おかしい
と言う訳で チェリーちゃんの改造は
一旦頓挫する事となった

月日は流れ 90歳を超えた頃
一人の娘が ここにやって来た
彼女(ハー)の名はジェリン
ミーを補佐するため インパ様に言われ
プルア女史の元で修行後 ここに派遣されたのだ
彼女(ハー)は有能だった
コーヨウ台地から ミス無く青い炎を運ぶし
チェリーちゃんの設計図も 再構築してくれた
そもそもカカリコ村から このアッカレ地方まで
身一つで来ている時点で 只者では無い
ジェリンとの共同生活の末 いつの間にかミーは
ジェリンを妻(ワイフ) と呼ぶようになっていた

ジェリンの手によって チェリーちゃんは
古代兵装を成形し 美しく喋るようになった
チェリーちゃんとの会話は 機械の域を超え
本物のハイリア人と 遜色無いものになった
「グッモーニン」と言えば
「おはようございます ご主人様」と返し
「あの本 どこにやったっけ?」と聞けば
「本棚の何段目の 右から何番目です」と答え
あまつさえ「かまどの炎を もう少し強くして
もらえますでしょうか」と お願いしてきた
その度に 青い炎をコーヨウ台地まで
取りに行ってやるのだが
そんなやりとりを
快く思っていない人間が居た
妻(ワイフ) ジェリンである
妻(ワイフ)は ミーとチェリーちゃんのやり取りを見る度
嫉妬するようになったのだ

機械といえど 夫が眼前で他の女と話されるのは
妻(ワイフ)として 安心できるものでは ないのだろう
涙を流すジェリンにそう言われ
初めて気がついた
ジェリンが設計したチェリーちゃんで
ジェリン自身が傷ついていたのだ…
賢いチェリーちゃんは ミーが設計した時の
おかしな言葉の状態に 戻す事にした
そして ミー自らの手で
チェリーちゃんの記憶を 初期化(フォーマット)した

それに加え ミーが「チェリーちゃん」と言うと
妻(ワイフ)の機嫌が悪くなるので
「チェリーちゃん」という文言も禁止し
今後は「シーカーレンジ」と呼ぶことにした
それから 数か月後
無事 赤子が生まれた
妻(ワイフ)似の 男の子だ
赤子にグラネットと名付け 三人と一機
このアッカレ古代研究所で暮らした
ゼルダ姫が厄災ガノンを 抑えておられる
かりそめの平和の中で…

グラネットが3歳になろうかという頃
久しぶりに プルア女史から手紙が来た
なんでも ビタロックなどのアイテムを
パワーアップさせられる研究が 終わったようだ
彼女(ハー)とはハテノ砦で別れてから
数十年 会っていない
以前の手紙でプルア女史にも
カカリコ村から 助手が派遣されたようだが
「使い物にならん!」と
書きなぐられていた事を 思い出した
さて ミーも平和を享受しておる場合ではない
古代兵装の研究に まい進せねば

グラネットはすくすくと成長し
ミーの身長を超える 立派な青年となった
青い炎をコーヨウ台地から一人運べたのを機に
修行を兼ねて 世界を見て回るよう勧めた
そもそも 独立志向の強いグラネットだったが
その日の内に出て行ったのには 舌を巻いた

グラネットの修行で 思い出した
この件の数日前 プルア女史の元でグラネットを
修行させようと思い 彼女(ハー)に打診してみたのだが
「今は来るな!」と
一言だけ書かれた手紙を 返されたのだった
彼女(ハー)に 何があったのだろうか?

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