※ 「
はじめての」の直前のお話
「アンタ達ってさあ、どこまでいったの?」
「っ!?」
プルアさんからの突然の質問に思わず持っていた本を落としそうになる。
危ない……こんな重い本を足の上にでも落としたら怪我をしてしまうじゃない。彼女をじろりと見ると「ごめんごめん」と謝られた。
「いや別にお節介だけで聞いたわけじゃないのよ? ナズナとリンクの信頼性とか絆とかがアンタの力に関係ありそうだなって思ったワケ。もう確認も何も出来ないけどね」
「……そうですか」
「何よその目。本当だってば」
ガノンを封印したあの日から数日。私の力について聞きたいことがあるとプルアさんに呼ばれ、私は王立古代研究所を訪れていた。
今までの出来事を私から根掘り葉掘り聞き出した後、あろうことか最後にトドメの一撃を喰らわされ今に至る。
プルアさんの観察力や洞察力は尊敬するものがあるけれど、少し大雑把な所は玉に瑕だ。100年後の世界では子供になっていても然程気にしていないようだったし、シーカー族の研究者は変わった人が多い気がする。
「それにしてもようやくくっついたかって感じだわー。二人ともバレバレなのに行動起こさないんだもん、何度自白剤盛ってやろうと思ったことか」
「!!」
「――っていうのはジョーダンだけど」
「冗談に聞こえないです。プルアさんならやりかねない……」
はぁ、と溜息をつく私を見てプルアさんは楽しそうにニヤニヤ笑っている。
「まあ、やっと平和になったんだしこれからの人生も楽しみな。二人に幸せになってもらいたいのは本心だからさ」
「……プルアさん」
変な人だけど、なんやかんや面倒見は良い。「進展あったら言ってねー」の言葉を背に、私は研究所を後にした。