※ガノンを封印した後のカカリコ村でのお話
「今日はナズナと一緒に寝てもいいですか?」というゼルダの願いで私とゼルダは一緒に眠ることになった。
申し訳ないがリンクは別室で寝てもらう。一応リンクだって男だから一国の姫と同じ部屋で寝るのは流石に宜しくないとの配慮からだ。リンクは少ししょんぼりしていたが、姫様の為と受け入れてくれた。
姫としてではなく親友としてゼルダと接する久しぶりの時間。隣り合った布団の中で今までの話をしていたら自然と涙が流れた。
「ゼルダ……本当に居る、居るんだよね……?」
「ええ。ここに居ますよ。ナズナとリンクのお陰です」
ゼルダの手をぎゅうっと握り締め、確かにゼルダがここに居るという事実を確認する。普通だったら有り得ないことだ。幾つもの奇跡が重なって、沢山の人の支えがあって今ここでまたゼルダと出逢えた。
「ナズナ、泣かないで。折角100年振りに会えたのですから。笑っている顔が見たいです」
「……うん、そうだよね」
自分の袖で涙を拭う。
「私、ナズナと話したかったことが沢山あるのです。自分の為だけではあんなに頑張れませんでした。ナズナが生きていてくれたから……っ」
ゼルダの目からぽろぽろと涙が溢れた。それにつられて、拭ったばかりの私の目にも再び涙が滲む。
「ゼルダ……ふふっ、泣かないでって言ったのはゼルダなのに」
ゼルダは溢れた涙を拭い、くすりと笑った。
「そうでしたね。ナズナと居ると涙脆くなってしまうようです」
柔らかく微笑むゼルダの顔を見たら安心したのか、眠気が襲ってくる。
小さく欠伸をすると、ゼルダが口を開いた。
「今日はもう寝ましょうか。……眠るのなんて100年ぶり。またこうやってナズナと一緒にお話ができるなんて夢みたいです。おやすみなさい、ナズナ」
「……うん、おやすみなさい。私もゼルダが無事に戻ってきてくれて、また笑顔が見れて本当に良かった」
二人で顔を見合って微笑む。戻ってきた幸せを噛みしめながら眠りについた。
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