ノウナイアンサー
2011/07/20(Wed) 22:26
ふと、尋ねられた。
"貴女は、後悔をしたことがありますか"。
正直、意味がわからなかった。
だから取り敢えず、"しないように心掛けています"と答えてみた。
そして、そんなことを彼女に報告すれば、腹を抱えては大袈裟に笑われた。
「っ、流石あんた……!期待を裏切らない子……!!はは、」
「……ねえ、それの何処がそんなに面白いっていうのさ」
そんな反応に少し苛立って、思わずヘッドフォンを耳に当てた。隔離された空間は遠く、彼方へ消え。
「ああもう、そんなに怒らないでよー」
「怒ってなんか無い」
「じゃあそれ、取ってよ」
白い指先が自分の頭を指した。そして暫くし、その意味に気付き。暗い藍色の短い髪が張り付く。
「取っても意味無いよ」
「あーる。そんな、音楽聴いてたらあたしの声届かないでしょ」
「ああ、それなら大丈夫だよ。」
そして黄緑のコードの先を、ぶらぶらと揺らしてみたのだった。
「だって、此処には音なんて無いんだから」
(無音蓄音機)