ここの娘達は花占いが好きだ。
勿論その中にきっと私も含まれるのだろう。私もこのせかいに生まれた女なのだから。
目の前落書き世界は果てない。ころころ散らばった人形が笑い出す。
誰が芸術なんて叫んだんだっけ。どうして人々は醜い底にひとつの輝きを見出そうとするんだろう。私にはどうも、わからないらしい。
暗く霞んだ深海の様。よう、酔う。私はこの甘い香りに酔っては眩んで溺れているの。
ねぇ、イヴ。あなたならわかるでしょう。
そっとその花弁に触れてみた。嗚呼、なんて柔らかくて、優しいかほり。
紅い赤いきみの華。その美しさは生命の強さを表しているんですって。――そう、そうだねこれは食べちゃいたいくらいきれいなの。イヴのいのちが、ここにあるんだって。ふっと嬉しくなった。
赤ってなんでこんなに魅力的なんだろうか。眼にはよろしく無いなんて誰かが愚図って。
華やかに一輪乱れ咲く紅は、何の色に似ていたんだっけ。嗚呼、何処かで私は知っているはずなの。このよで一番きれいで醜いそれを。
でも嫌なんですって。やっぱり赤が欲しいんだって。いのちが愛しい愛しいとイヴと誰かさんが嘆いてる。
でもこのままじゃなんだか面白くないなあ。ごめんなさいイヴ。でも私はやっぱり、悦楽の方がすきみたい。
それに、私が好きな色は赤だけじゃないの。ね、この意味イヴならいい子だからきっとわかるんでしょう。
「じゃあ、ギャリーの薔薇が欲しいなぁ」
醜悪はなんて、煌くんでしょう。
(すき、きらい、すき。うそ)
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Ib
メアリー