1day1sss | ナノ



隔離異世界閉鎖スル。

2011/08/09(Tue) 13:29






堕落する花弁。握り締めた拳銃。飛び交い返り血が張り付いた。赤い水。
人間らしさの欠片を残さず転げ落ちるひとがた。眼から赤い水か、血をたれ流している。


「――っ、は」


辺りの屍人は全部撃った。しかしいずれまた直ぐ起き上がるであろう。死を忘れ、永久に彷徨う彼等を完全に撃ち臥せる方法なんて何処にもあらず。いや、もしかすればあるのかもしれない。だが現時点では、とりあえずなぎ倒すしかその場をしのぐ方法が無いのだ。
結われていた髪はここ数日の戦闘やらで何時の間にか解けていた。桃色の髪色さえ今では赤ばんで見える。
広場を去り、小屋のようなとある一室に身を潜めた。今まで強張っていたせいか、安心感が全身を緩やかにさせ思わず腰をおろした。
どくとく。先程左腕をヘマしたせいか、血を流している。応急処置として服を破り包帯のように巻きつける。これで、少しはマシになるだろう。
拾った銃の残弾を確認する。もうあと少ししかない。そろそろ弾を入手するか、また別の武器を手に入れるか――。


ほんとうに、此処から逃げる術は無いのか。今のところは、無い。自分としてはさっさと此処から抜け出したい。共に居た彼と共に。
彼は、無事だろうか。人並み以上に泣き虫なあいつのことだから、もしかしたらきっと泣き出しているのかもしれない。


「……俺より先に逝ってたら承知しねえぞ…神童」


ひとつ、祈るように小さく吐き捨てる。
そもそも、こんなことになったのは自分の責任でもあるのだ。自分が、ちょっとした好奇心で巷で少し噂になっていたこんな山奥の村に彼をつれてきてしまったから。すれば、こんな異世界に取り込まれ身動きが出来なくなってしまった。せめて、身勝手だけども彼が無事でなくては自分が持たない。だから生きていておくれよ。――かといってそんなことを何時までも嘆いている暇は無い。さっさと合流して此処から抜け出すんだ。


ぎし、ぎし。軋む痛んだ床板の音。バサバサと昆虫のような羽根の音。不可解な声。視界ジャックを行えば、視える幾つかの視界。三つ――いや四つ。
残弾を再度確認する。あと撃てる回数は、三回。上等だ。


「――生憎、俺は今此処で死ぬわけにはいかねーんだよ。化け物野郎共」


そう言い聞かせるように霧野蘭丸は足を立たせた。




(帰り道なんて何処にも無い)





SIRENパロ。そして自分が書く蘭拓はよく離れ離れになる






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