食事の後片付けをして、明日の朝食の仕込みを終えてようやく自分の時間。

部屋に戻って俺は家計簿をつける。

明日は牛乳が安いみたいだしブラマンジェでも作ろうか。

そんな事を考えていると控えめにノックの音が鳴る。


「はい」

「水無月さん?私だけど」


可愛らしいTシャツに身を包む相田さんが部屋に入ってくる。

その手には1枚の紙。


「これが明後日のお弁当の中身の案?」

「はい。火神くんのピーマン嫌いを克服するためにピーマンをふんだんに使ってもらおうと思って」


食事管理も監督の義務だと意気込む相田さん。

ただ彼女自身は料理が苦手だから弁当の中身だけ考えてくれるように諭した。

と、いうかそうするように日向くんと伊月くんに頼まれた。

それはこの世の終りのような必死さで。


「ピーマンの肉詰めにパプリカの入ったピラフ。それに火神くんの好きなミートボールでご機嫌を取ろうって感じだね?」

「はい。お願いできますか?」

「もちろん。むしろ考えてもらって悪いね。ありがとう」

「いっいいえ!私ただ考えてるだけで一番大事な所は水無月さんに任せっきりだから・・・」


相田さんはらしくもなく歯切れ悪く話す。

俺は相田さんの頭をポンポンと優しく叩き撫でる。


「じゃあ今度の日曜日の昼食一緒に作ってみようか」

「いいんですか?」

「もちろん。花嫁修業手伝いますよ、お姫様」

「ありがとうございます!」



もう遅いからと相田さんを部屋まで送って、風呂に入る。

風呂はいいね。文化の極みだ。

気持ちいいがために風呂で寝てしまうこともしばしば。

でも、いつも必死な顔した皆が起こしてくれる。

風呂で寝る癖を治そうと思ってもあんまりうまくいかないみたいだ。


「さて寝るかな」

部屋に入るとベッドに異様な膨らみ。

今日はまた誰がいるのか。


「水無月さん。一緒に寝ましょ?」

「今日は木吉くんか。まったく君たちは甘えん坊だね」


毎日誰か1人一緒に寝る。そんなこともいつの間にか恒例になっていて。

昨日は確か伊月くんだったなとか思い出す。


「今日もお疲れ様。明日もお願いします」

「うん。木吉くんも部活お疲れ。さっ寝よ?」


電気をけして俺より体の大きい木吉くんに抱きしめられる形で眠る。

これが俺の1日。

辛い事もあるけれど、彼らの喜ぶ顔が見たいから苦じゃない。

さあ明日も頑張ろう。




(ん・・・)

(おはよ。木吉くん。まだ寝てていいよ)

(んーまだ寝てましょうよー。水無月さん)

(ダメだって俺起きないとご飯とお弁当作れないよ?)

(俺も手伝う)




寮父さんはお母さん!




 




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