日向たちはそんな笠松たちの顔を見て、しょうがないと顔を見合わせ弁当の中身を少しずつみんなの弁当箱の中に入れる。


「!!」

「今日限りだぞ。ダァホ」


青峰や黄瀬はすぐさま口の中にほおばり、赤司と緑間は少しずつ堪能するように食べる。


「やっぱうめぇよな。水無月さんの玉子焼き」

「だな。西村さんのも美味しいんだけどダシの味も生きてて好きだなぁ」


今日限り、と日向は言うがこれもまた毎日の事。

弁当の中身が少なくなって寂しい気持ちになった誠凛寮生は明日から1つおかずのみの弁当を作ってもらおうと考えていた。

自分たちの分が減らないように。

そして皆も水無月さんの料理を食べれるようにと。



昼食が済んだら午後の授業、そして部活へと向かう。

バスケが強いこの学校では部活といえども真剣だ。

1回のミニゲームで自分の在籍する場所が奪われる可能性だってある。

相田と赤司の指揮でメニューがどんどん進んでいく。


「黒子寝るなー!」

「2分・・・ください」


日夜ハードな練習なため体力のない黒子はすぐに倒れる。

しかしそんな光景も見慣れたもので気にする人間はほんのわずか。

練習が終わる30分前になると日向や相田をはじめとする誠凛寮生は時計を気にする。

その理由を痛いほど知っている他の寮生がイライラし始める時間。

誠凛寮生は部活に集中しつつも今日のごはんはなんだろうか、と頭の片隅で考えているのである。

今日も誰がそんな誠凛寮生の頭にバスケットボールをぶつける。

これもまた日常なのである。


「・・・よし。今日の部活は終わりだ。戸締りをして帰るように」


赤司の一言で誠凛寮生は我さきにと走り出す。

もちろん監督兼マネージャーの相田もだ。


「むーテッちゃんたち羨ましいなぁ〜」

「ったく。俺たちにもよこせってんだよなぁ。明日トラックで轢くぞゴラ」


誠凛寮生が出て行った方をじっと他の寮生は見ていた。









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