トントン
コトコト
誠凛の寮のキッチンでは包丁の刻む音と煮物を煮込む音が響く。
朝とはいえども高校生12人の朝食だ。
白米、さつまいもの味噌汁、がんもどきの煮物、鯵の干物、卵焼き。
これにフルーツの盛り合わせをつけても綺麗にペロリと平らげてしまう。
食いっぷりを思い出してフフっと笑う。
炊飯ジャーと味噌汁の鍋を机の横にセットし、他のものは1つ1つ皿に盛り付ける。
「よし!」
7時20分。
いつも通りの時間に出来上がった食卓を見て寝坊助さんを起こしに階段を上がっていく。
「水無月さんおはようございます」
「おはよ。日向くん。ジョギングは終わったの?」
「はい。今から火神たちを起こしに行くんすか?」
「うん。日向くんもしよければ手伝ってくれるかな」
俺の申し出に日向くんは少し頬を赤らめながら了承した。
今日の朝はちょっとだけゆっくりできそうだ!
そんな事を考えていた俺は日向の心臓の音に気づかず。
日向に小金井くんと相田さん、降旗くんを頼み、自分は一番手のかかる1年コンビの火神くんと黒子くんを起こしに行く。
「火神くん。朝だよ」
「ぅぅん・・・」
ゆさゆさと体を揺さぶるが寝返りを打たれて効果なし。
仕方がないと、火神の体にまたがり火神の耳元で呟く。
「火神くん、起きて?」
「っ!?」
ガバっと火神くんは上体を起こす。
いきなりの事で俺はベッドから落ちてしまった。
「わっ水無月さんすみません。いつもいつも・・・」
「ハハハ別にいいよ。ただもうちょっと寝るの早くしようか。昨日も遅くまで青峰くんとバスケしてたんでしょ?」
「っス。今日は早く寝る、です」
「ん、おりこうだね。早く降りてきてよ。日向くんが怒っちゃうから」
火神くんの頭を撫でて部屋を出て行く。
さあ、黒子くんの番だ。
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