「えっでも大丈夫?」


水無月は黒子の仮病に気づかず本気で心配し始める。

そんな水無月の肩に水戸部はやんわり手を置いて頭を左右に振った。


「黒子はずっと水無月さんと一緒に居たいから仮病使っただけだってよ。俺たちもできれば一緒に居たいけど。ねー水戸部」

「・・・・・」


水戸部はゆっくり頷く。

これは困ったなぁと水無月は苦笑い。

土田は1人一番後ろでハラハラしていた。

日向よりも怒らせると怖い人間の相田が今隣でニコニコと笑っている事に。

そして背後の黒いオーラは背筋をピンっとさせる。

早く気づけ!そう土田は細い視線で日向たちに送っていた。


「まったく〜。そんなに学校行きたくないなら〜リコのスペシャルメニューやっちゃう?学校行きたい帰りたいって泣き叫んでも終わるまで行かせないわよ?」


女にしては低い声で相田は呟く。

ピタリと全員の動きが止まりギギギと錆びた金属のような音を鳴らしながら相田の方を見る。


「さっさあ・・・学校へ行くぞお前ら!」

「ウィーッス!」


一致団結チームワーク抜群誠凛寮。

ここぞとばかりチームワークを発揮し玄関を出て行く。


「ごめんなさい、水無月さん。ウチのバカ共が」

「いいよ。学校行きたくないなんて俺も言ってた時あるしね」


尻を叩く役目ご苦労さまと水無月は相田の頭を優しく撫でる。

相田は顔を真っ赤に染め、それを見られまいと顔を手で隠した。

年頃の女の子だから男の人に触られるの恥ずかしいかなぁ、やめるべきかなぁとか水無月は考えつつ相田を撫でる手は止めない。

その時だった。


「なんでいるんだよ!」


火神の大きな声が玄関の外から聞こえる。

何事かと水無月と相田も急いで玄関から出た。

そこに見えた光景はボロボロになった緑間と泣きそうになりながら相棒を支える高尾、そして青ざめた大坪、宮地、木村の3年コンビだった。

しかも申し訳なさそうな顔をして秀徳側監督の中谷も立っている。


「実は、水無月さんに折言ってご相談がありまして」

「相談?」


メンバーを代表して大坪と中谷が水無月の前に深々とお辞儀をした。








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