黄瀬先生はイケメンで、学生時代モデルをやってたというのもあって女性職員には人気があった。

そんな黄瀬先生が産婦人科医ってむしろ患者さんを孕ますのはお前じゃないのかと初めて会ったときに真白と愚痴ってたのは記憶に新しい。

産婦人科の外来の方へ連れてこられた俺たちは1つの診察室へと通される。

そこは多分黄瀬先生がよくいる診察室なのか、女の人から貰ったものであろう物が所々に飾られてて腹が立つ。


「じゃあ適当に座っててください。今持ってくるんで」


そう言って黄瀬先生は診察室を後にする。

適当に座ってろって言ったってここには椅子か診察台しか座るもんねーよと言ってやりたい。

診察台とか恥ずかしくて座ってられないから椅子を真白と半分にして座る。


「このうちに帰ろう、歩」

「帰りたいけど逆に怖いだろ。帰っちゃ」

「そうっスよ。折角俺がお茶入れてきたのに」

「うわあああああ!」


黄瀬先生は美味しそうな紅茶の香りを漂わせてコップを2つ持ってくる。

あと、片手に美味しそうなクッキーも。


「これすごく美味しかったんでおすそ分けっス。どうぞ」

「ど、どうも・・・」

「いただきます」


サクっと1口クッキーを噛むと程よい甘さと紅茶の風味が口の中に広がる。

紅茶は花の香りがほのかに漂い、クッキーと相性はよかった。


「うまっ!」

「おいしいです」

「よかったっス。それ紫原っちのおすそ分けなんスよ」


紫原、その言葉を聞いて俺たちはコップを机に置き立ち上がる。

どうしたんスか?と黄瀬先生は不思議そうに俺らを見るがそれにかまってられない。

嫌な予感がする、逃げないとと思って診察室を後にしようとするが黄瀬先生はそれを許さない。

片手で真白を、もう片方の手で俺の腕を掴む。


「まだまだあるんスよ?」

「ちょ、ちょっと急用を思い出して」

「紅茶とお菓子ありがとうございました」

「ふぅん・・・急用ってどうしたんスか?それとも思い出しちゃった?」


紫原っちにイかされちゃった事。

俺の耳元で黄瀬先生は呟く。

それを聞いてしまった真白の顔は血の気が引いて真っ青で。もちろん俺もそうだ。


「なんでって顔してる。理由は簡単っスよ。俺と紫原っちがグルだから」

「グ・・・ル?」

「そう、グル。異常なしって紫原っちから検査報告が来たから俺の役目は2人のお尻だけで気持ちよくなってもらう事だから」

「っ離しやがれ!」


真白はジタバタと暴れるが体格差が激しすぎるため黄瀬先生はビクともしない。

もちろん俺も抵抗してるのにまったく歯が立たず。

そういえば黄瀬先生は中、高、大とバスケしてたとか言ってたなとか思い出した。









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