「ん・・・」
ふと下半身に寒気が走り目覚める。
まだボヤけている視界ではここがどこかはわからない。
ただロッカールームではないことはわかる。
誰かが運んだんだろうか。
そう思って体を動かそうとすると拘束帯によって体が動かせなくなっていた。
体をくの字に曲げて臀部を突き出しているような格好。
ばっと頭を回転させる。
クリアになった視界で唯一動かせる頭を動かし見渡すとそこはどこかの診察室。
2つのテレビが見える。つまりここはエコー室か消化器外科?
暗くてあまり良く見えない。
横には歩も眠っていた。
「歩、歩!」
「ん・・・んぅ・・・」
歩が目覚める。
俺と同じ状態になっていて歩も顔を青ざめた。
「お、おい!真白どういうことだよ!?」
「俺が知るか。むしろ俺も聞きたい」
「どこだよ、ここ!というかなんか尻痛い!」
確かに。
臀部に変な違和感はずっと感じている。
だけどそれが何なのかは見えなくてわからない。
ますます恐怖心が煽られる。
「あ、目覚めたぁ〜?」
バッと部屋の電気がつけられる。
いきなり光が目に入ってきて一瞬くらむ。
慣れた頃に声の聞こえた方向へ顔を向けるとそこには笑顔の紫原先生。
「先生!助けてください!目覚めたらこんなことになってたんです!」
歩はガタガタと体をゆする。
そんな様子を紫原先生は見て満足げに笑う。
「うん。知ってるよ〜。だってそれ俺がしたんだもん。美味しかった?睡眠薬入りココア」
紫原先生の発言に俺たちははめられた事を理解した。
あの異様な眠気はココアのせいだったのか。
歩は今にでも殺しそうな顔で紫原先生を睨む。
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