「お、終わった・・・」

「疲れた・・・」


ぐったりと休憩室で机に突っ伏す。

今日は暴れる患者様や膿疱が破れて浸出液が漏れたなど色々なアクシデントがあった。

たまたま実習生が来てくれていたのがよかった。

じゃなかったらまだ入浴介助が続いていただろう。


「ふふふ。白ちん、歩ちんお疲れ〜」

「紫原先生」

「おっお菓子ありがとうございます!」


いつも両手に一杯お菓子を抱えている紫原先生は消化器外科の先生。

机にもお菓子が広がっていて胃痛を抱えて来ている患者様にとって苦痛だろうと思いがちだがそのムードで胃痛が緩和される、というのもあるらしい。

イマイチ何を考えているかよくわからない先生だ。

俺は赤司先生よりも紫原先生の方が苦手だったりする。

まあ、一番ではないが。


「今日ハーバード浴だったんだね〜。大変だったでしょ?これ飲んで元気に出しなよ」


渡された温かいココア。

美味しそうな匂いがする。


「ありがとうございます、先生」

「ありがたくいただきます」


お礼を言うと紫原先生は休憩室から出て行った。

あの人はなんのために来たんだろう・・・


「とりあえず甘いもの貰えたしいっか」

「だな。ん、うめぇ!真白も飲めよ」

「ああ」


ふんわり牛乳の香りのする甘いココアは俺たちの疲労を少しでも消してくれた。

ハーバード浴の日はハーバード浴が終わり次第帰れるからココアを飲み干して休憩室を後にする。


「あ、赤ちん?青ちんからもらった奴ココアに混ぜて飲ませたよ。うん。分かってる」


その横のトイレでそんな会話があったとは知らずに。



ナースステーションに帰って引き継ぎだけして挨拶して帰る。

ロッカールームで着替えているとふと眠気が襲ってきた。


「真白眠いー」


歩が抱きつく。

ただでさえ俺も眠いのに歩の体温が加わって余計に眠たくなっていく。


「ど、けよ・・・歩」

目をこすりこすり脱いでいくが限界が訪れたようだ。

ロッカーのベンチに座り微睡んだ。









人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -