約束の時間が刻々と迫る中で黒子はぎゅっと水無月の腹部に手を回し抱きしめる。
それを見た火神は後ろから抱きしめる。
「水無月さん・・・行かないでください」
「黒子くんは寂しがり屋さんだね。大丈夫、日向くんだっているし早く帰ってくるよ」
その日向が心配でもあるのだ。
2年で監督生を努めてはいるが本人はいたってチキンのヘタレ。
それを表に出さないのはこの寮が自分たちより上の人がいない。そして自分が監督生であるというプライドだから故。
本音を言うと行きたくはないのだ。
何せ言ったら全ての寮から憎まれ口を叩かれるのだから。
最近の寮内の報告というものが会議の中にあるのだが、どこの寮もトラブル報告のようになっている。
しかし誠凛は平和そのもの。毎日楽しく暮らしていますといった内容しか今まで話した事がなく。
そしてその内容全てに寮父の水無月が絡んでいるのもある。
先月の会議を思いだし日向は1人気づかれずため息をつく。
「さ、日向くん。俺は大丈夫だし行こうか」
「はい」
ポンと優しく叩かれた肩をもう一度確かめるように自分の手を肩に置き日向は寮を出る。
さあ、行こうではないか。会議へ。
「なー水無月さんまだかいなぁ〜」
「日向からさっき寮を出たって連絡があったぞ」
「よほど水無月さんと離れたくないんですね。いつもギリギリで」
一方洛山寮の大広間にて他の寮の監督生および寮母、寮父が集まっていた。
あとは誠凛だけ。
誠凛がいつもギリギリに来ているのは何時ものことでなれていると言えば慣れている。
が、理由が水無月をギリギリまでこの空間に居させたくないからだと以前日向の口から聞いて笠松は珍しく憤慨した。
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